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ある愛の風景のkuuのレビュー・感想・評価

ある愛の風景(2004年製作の映画)
4.0
『ある愛の風景』
原題 Brødre.
製作年2004年。上映時間117分。

2009年に『マイ・ブラザー』としてハリウッドでリメイクされた。
因みにナタリー・ポートマンが本作でサラにあたる役どころ、二人の娘を持つ母親を演じています、脇役にはトビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール。

美しい妻サラ(コニー・ニールセン)と2人の娘を持つ国連軍のエリート兵士ミカエル(ウルリッヒ・トムセン)は、良き夫、良き父として幸せな日々を送っていた。
しかし、戦渦のアフガニスタンへ赴いた彼は、敵の捕虜となってしまう。一方、サラの元にはミカエルの訃報が届き。。。

物語のシチュエーション無くもないが、ただ、これほど観てる側を惹き付けておける作品はあまり見かけないかな。
今作品の原題は『Brødre』
タイトルからして兄弟をテーマにしているはずやけど、実際には心に傷を負った兵士の疎外感と、それがもたらす家庭内での問題を描いている。
この映画の強みは、観てる側としては家族に共感できるだけでなく、被害者であるミカエルにも共感できることやと思います。
彼のトラウマを目の当たりにして(トラウマとは何か)、その瞬間から彼が苦悩する状態を理解する。
一方で、こないな問題は簡単な解決策がないこともわかってる。
今作品は素晴らしい演技に支えられてこそ生きる映画やと思います。
ウルリク・トムセンが演じるミカエルは、成功したプロの兵士やけど、トラウマのために自分の暗い考えの虜になっちまう。
ニコライ・リー・カースは、正反対の変貌を遂げる弟ヤニックに扮し、彼もまた説得力のある演技を見せてた。
また、ミカエルの妻を演じるコニー・ニールセンと、2人の才能ある子役が、帰国した父親の支配下で大いに苦しむ愛らしい娘たちを演じていましたよ。
脇役もほんま巧い。
こないなパフォーマンスやら、素晴らしい映画やのに、リメイクは余り芳しくないらしいので、比べる意味でも機会があれば見比べたい。

映画を見終わってふと思い出した詩ですが。

“A Relative Thing”(1975)

We are the ones you sent to fight a war
you didnʼt know a thing about.
It didnʼt take us long to realize / the only land that we controlled
was covered by the bottoms of our boots.
When the newsmen said that naval ships
had shelled a VC staging point, / we saw a breastless women
and her stillborn child.
We laughed at old men stumbling / in the dust in frenzied terror
to avoid our three-ton trucks.
. . . . .
We have been Democracy on Zippo raids,
burning houses to the ground,
driving eager amtracs through new-sown fi eld.
We are the ones who have to live
with the memory that we were the instruments
of your pigeon-breasted fantasies. / We are inextricable accomplices
in this travesty of dreams: / but we are not alone.

愚訳kuuことGeorge
A Relative Thing

私たちは、あなたが何も知らない戦争に送り込んだ人たちです。
あなたは何も知らなかった。
自分たちが支配しているのは、ブーツの底で覆われた土地だけだと気づくのに時間はかかりませんでした。
我々が支配している土地は、我々のブーツの底で覆われているだけだと気づくのに時間はかかりませんでした。 放送記者が、海軍の船がVCの拠点を砲撃したと云った時
放送記者が、海軍の船がVCのステージングポイントを砲撃したと云った時
私たちは胸のない女性とその死産した子供を見ました。
胸のない女性とその死産した子供を見ました。
私たちは、3トントラックを避けようと、砂埃の中で狂喜乱舞する老人たちを笑いました。
私たちの3トントラックを避けようと 。。。私たちはジッポ~ライターの襲撃で民主主義を貫いてきた。
家々を焼き払い熱心なアムトラックで新しい土地を走らせる。
私たちは、自分たちが道具であったという記憶を持って生きていかなければなりません。
私たちは、あなたたちのハト派の胸を張った道具であったという記憶とともに
私たちは、あなたたちのハト胸の空想の道具だったという記憶を背負って生きていかなければなりません。
私たちは、この夢の茶番劇の切っても切れない共犯者です。
この夢の茶番劇の表裏一体の共犯者だ。
しかし、我々は一人ではない。
kuu

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