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ナインスゲートのchikichikiのレビュー・感想・評価

ナインスゲート(1999年製作の映画)
3.7
 ロマンポランスキー監督の描く、世界に3冊しか現存しない祈祷書『影の王国への9つの扉』をめぐる物語!!


 稀覯本やアンティーク製本の発掘・売買を生業とする、主人公ディーン・コルソ(ジョニー・デップ)は、ある収集家からの依頼を受け、調査を始める…

 

 書物をめぐる人間同士の争いと版画(書物の中にある挿絵)に本の内容の意味や隠された謎を紐解いていくと言った、オカルトチックなストーリーが個人的にめちゃくちゃ刺さってしまった訳なのですが…
 物語の展開自体は恐ろしく地味です!笑

 ただ、その分画で魅せ、ストーリーを補完していく部分の演出が古風ながらも丁寧な描き方だったのは良かったですし、製本工房のセニサ兄弟や緑の目を持つ謎の女性などなど、個性豊かなキャラクター造形も楽しめました!

 また、個人的には収集家それぞれのブック・コレクションのディスプレイ方法や本棚を含めた調度品にそれぞれの趣味嗜好が散りばめられており、興味の対象が同じ人間同士でも、その向き合い方にしっかりと違った個性が感じられる様な描き分けが成されていたのが良かったです!



 若干、ラストが唐突な気もしますが、事細かに描いたら描いたで、一気にチープな内容になってしまいそうなので、その点はあまり気になりませんでした。

 
 しかし、唯一足りない部分があるとすれば、当初は高額な報酬だけがお目当てだった主人公が〈何にそこまで探究心や知的好奇心を駆り立てられ、のめり込んで行く事となってしまったのか?〉と言った点の描写が弱かったかなーと。

→物語の構成上、観ている側は主人公と共に謎を追ってくカタチになるので、動機付けが、分かりやすい方が自然とストーリに入って行きやすいのかな?思いました。



 主人公が事件に巻き込まれていく、謎解き要素+悪魔崇拝を題材にとったオカルトチックな内容という点では、ダン・ブラウンの著作"ラングドン・シーリズ"などに近い雰囲気の作品では無いかと思います。

 →例えるなら、ラングドン教授のいない『天使と悪魔』、『ダヴィンチ・コード』と言った感じ。
 (※欲を言えば、ラングドン教授による象徴学的視点からの解説が欲しい…笑)



 オカルト好きもしくは、アンティークや古書が好きな方なら楽しめる作品ではないかな?思います!!
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