140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ゴジラ対ヘドラの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)
4.5
おまえらだ‼︎

今作において強烈な眼力が2度、我々の脳裏に衝撃を与えます。

1つ目は、オープニングの海から顔を出したヘドラの目

2つ目は、ヘドラとの死闘を経てズタボロになったゴジラが人間を見るときの目

ヘドラは人間の犯した公害という罪の中から産まれた怪獣

ゴジラは人間が手を出してはいけなかった原子力の落とし子

人間が作った悪夢と悪夢があらゆる不快は描写とあらゆるサイケデリックな手法により、アート映画として、人間への嫌がらせとして、教訓として、見せしめとして、戒めとして、気持ちが悪く、決まりが悪く映しまくります。
本当に映しまくります。
本当の本当に映しまくります。

冒頭のヘドロのドロドロした不快極まりない絵から、不気味でポップな主題歌を歌い手が無表情で歌い上げ、ヘドラが通れば人々は苦しみ、溶け、消失する。ゴジラと対しても片目を潰し、ヘドロに浸し、徹底してイジメまくる。

まさに悪夢的で、ゴジラのヒーロー性を排して、排泄してトラウマ、悪夢を我々の脳裏に植えつけてきます。

1度見たら忘れられない、映像の工夫の数々。サイケデリックにドラッギーにトラウマチックに脳裏にこびりつかせる。そう、ヘドロのように…

ゴジラはヒーローでなく、大自然の守り神としてのポジションにつかせ、人間の業に睨みを利かせたクライマックスシーンら素晴らしかったです。

ギャレス版のゴジラは、このゴジラに影響されたのでは?と思うほどゴジラのヤラレっぷり、ゴジラのヘドラへのラストの暴虐っぷり、そしてゴジラの去りゆく姿。ギャレス版ゴジラのラストのように疲弊し傷つきながら去っていく姿に孤高性、哀愁、言いようのないもどかしさを感じました。

ヘドラは罪で
ゴジラは罰

人間はその業の前に立ち尽くすしかなかった…それで当然の存在でした。