ねこ無双

白い肌に狂う鞭のねこ無双のレビュー・感想・評価

白い肌に狂う鞭(1963年製作の映画)
4.5
不定期更新、イタリアホラーの父、マリオ・バーヴァ祭りその17

怪奇ゴシックロマンホラーに退廃的、耽美的なサドマゾという要素が込められた映画。

蒼い夜明け、波打ち際を馬にまたがった男が駆け抜けてゆく。
崖の上に立つ城の中は青と黒の色彩で美しい。風の音が轟々響き渡る城の内部。

クルトは望まれぬ客だった。
家族に憎まれたまま家を離れていたけど、元恋人ネヴェンカが弟と結婚する事を聞いて、舞い戻ってきた。
クルト伯爵様を演じるクリストファー・リーは、そこに立ってるだけでもう高貴。
みんなからの憎しみを一身に受けながらも堂々として決して怯まず、邪気のある色気を醸し出してます。
元恋人を見つめる目には慈しみと変態みが宿ってるかんじ。

海と馬と貴婦人のシーン。絵になる!
そこへ貴婦人(ネヴェンカ)を追いかけてきて迫るクルト。うんうん、これはよくある展開。
えっ、ここで鞭うち…?
おびただしい鞭の跡が背中に。
波打ち際で愛し合う二人。
サドマゾは趣味じゃないけど、とても美しいシーン。ネヴェンカは背徳の愛が忘れられない。
繰り返して言うけど、私はサドマゾ趣味じゃないです。

そしてその夜、悲劇が起こり…
えっ、まさかのリー退場⁉︎
でも大丈夫。その後もリーがこの映画世界を支配して、生ある者たちを苦しめていく。

バーヴァ監督らしい映像美が楽しめる作品。濃い青と黒の色世界、城と嵐…ブラック・サバスの2話目を思い出しました。
メインテーマとなってるピアノ曲はほんと美しく名曲です。


おまけ話ฅ (ↀᴥↀฅ) و ーーー

すでにイギリスでは怪奇俳優として有名だったリーがイタリア映画界へ一時渡り、
バーヴァ監督とは2度目のタッグとなる。
バーヴァ監督の映画を敬愛するリーが、この10年後審査員として参加した映画祭で鑑賞した『血みどろの入り江』。
そこでバーヴァ監督のスプラッター映画への転向を知り、リーが大変残念がったとの逸話がある。

『白い肌に狂う鞭』はゴシックホラーのムード漂う映画だけど、アメリカ版のオープニングはタイトルも『what』に変えられ、わかりやすいショッキングな雰囲気のオープニングムービーが追加。
イギリスでの公開時は性的ニュアンスのシーンはカットされ過ぎて(性とホラーの組み合わせはタブー)、どんなテーマの映画か批評家も理解するのが難しかったそう。


ฅ (ↀᴥↀฅ) و
これにてバーヴァ祭り終了です‼️

今まで観たバーヴァ作品の私的BEST5です。

1位 『ブラック・サバス』の2話目
(でもオムニバスで他の話もあるからスコアは下がります)
2位 『処刑男爵』
3位 『血ぬられた墓標』と
『白い肌に狂う鞭』
4位 『呪いの館』
5位 『知りすぎた少女』または
『ラビッド・ドッグス』または
『ファイブ・バンボーレ』