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クリスマス・ストーリー

『クリスマス・ストーリー』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.1
 フランス北部の街ルーベ、家に飾られた数枚の絵画、90年代初頭のHIP HOPのレコード、そしてジョセフ・ヴァイヤールの墓跡。長年この地でおしどり夫婦として愛を育んで来たアベル(ジャン=ポール・ルシヨン)とジュノン(カトリーヌ・ドヌーヴ)のヴュイヤール夫婦が最初に授かった子供は、男の子ジョゼフ。その2年後には長女エリザベート(アンヌ・コンシニ )が誕生。だがジョゼフは幼稚園の時、白血病と診断される。治療法は骨髄移植だけであったが家族の誰も骨髄が不適合、長男を救うため夫婦は次男アンリ(マチュー・アマルリック)をもうける。ところが彼の骨髄も適合せず、ジョゼフは僅か6歳にして天に召される。それから数十年が経過した現代、ヴュイヤール夫婦は孫にも恵まれ、すでに初老にさしかかっていたが、ある日母親ジュノンにジョゼフと同じ病気が見つかる。血液の表現型が珍しいこの病気を治すには、同じ型の骨髄を移植しなければならない。5年前、放蕩息子のアンリは詐欺まがいの劇場買収で多額の借金を重ね、それを肩代わりした姉エリザベートに代償として家族からの追放を言い渡されていた。クリスマス。母の病気をきっかけに、疎遠になっていた子供たちが家に集まってきた。次男アンリも、恋人フォニア(エマニュエル・ドゥヴォス)を連れ立って久しぶりに家族のもとを訪れる。

 前作『キングス&クイーン』では円満に見えた家族の中で、姉と弟だけがいがみ合う。今作では確執を更に引き延ばし、原因を丹念に追うことで、家族の関係性をより複雑化させている。次男アンリ(マチュー・アマルリック)は5年前、妻の死を境に自暴自棄になり、詐欺まがいの劇場買収で、多額の借金を重ねてしまう。アンリの借金を肩代わりした戯曲化の長女エリザベート(アンヌ・コンシニ)は疫病神な弟との絶縁を宣言し、二度と家の敷居を跨がせないと一方的に通告する。しかし非情なエリザベートにも悩みの種がある。長男ポールの存在である。彼は精神的な病を抱えており、黒い犬の幻視に悩まされている。ポールの精神的喪失を埋めるのは、一家の厄介者である次男アンリに他ならない。アンリとポールの男同士は母ジュノンと適合する骨髄を有し、合わせ鏡のような関係性で結ばれる。思えばデプレシャンの処女作『二十歳の死』では社交的でコミュニケーション能力に長けた親族の中で、たった1人20歳の青年だけが猟銃で頭を打ち抜いた。『そして僕は恋をする』では大嫌いな友人の猿の死骸を処分した主人公が原因不明の精神疾患に悩まされた。『エスター・カーン めざめの時』では女優の卵が嫉妬に狂い、舞台恐怖症になるまでを丹念に描いていた。前作『キングス&クイーン』では主人公が実姉に無理矢理精神病院に入院させられる恐怖を実に滑稽に描写していた。家族の中で例外的に精神疾患を抱える人間というのは、デプレシャンの作品の中で頻繁に登場している。

 5年間家族に拒絶され、孤独を極めた次男アンリの心の葛藤。一度は絶縁を言い渡しながら、母親の生を助けるかもしれない弟と息子の間で揺れる長女エリザベートの葛藤。そして手術をするのかしないのか?息子と孫のどちらに移植してもらうのか?ひたすら悩む母親の葛藤。その三者三様の葛藤や家族の苦悩を描いた前半部分のデプレシャンの描写は緻密で容赦ない。監督は姉弟の確執や病への恐怖の他に家族それぞれの葛藤さえも描いていくのである。中でも三男で末っ子のイヴァン(メルヴィル・プポー)とその妻シルヴィア(キアラ・マストロヤンニ)、そして従兄弟のシモン(ローラン・カペリュート)との三角関係の描写は何もそこまでと言う程、デプレシャンは丁寧に緻密に描く。家族というのは誰か1人が欠けただけで、家族全員に計り知れない影響を及ぼし、普段は一緒に生活していない者同士が、親戚や兄弟の何気ない一言や行動に救われる。そういうかけがえのない関係こそが家族であり、人間同士なんだと言わんばかりである。クライマックスに手術シーンが来る映画はあまり例を見ない。ラスト・シーンの雪の筆舌に尽くし難い美しさはデプレシャンと撮影監督であるエリック・ゴーティエの一つの到達点となる。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
やはりデプレシャンにとっての家族は必ずしもポジティブなものを意味しない。とは言えネガティヴ一辺倒に描かれる訳でもなく、ただただ同じ遺伝子を共有してしまった緩やかなサークル、くらいのやんわりとした空気感が包み込む。この映画の場合その内部に最後まで解決されない軋轢はあるし、今後大きな問題に発展しそうな新たな関係性はあるしと散々な一面がありながらも、血を分けた家族で揺るぎない事実が母親の命を救う事になる、が彼は決して母親を母とは呼ばないし、かつては「追放」の憂き目にあっている。切れた様でも切れていない、切ろうとしても切ることの出来ない家族の絆がもたらすどうしようもない宿命、死は時に唐突に命をさらっていくが、これも一重にクリスマスの魔法と言うやつなのかもしれない。尺ははっきり言って長いが、テーマと良い技法といい、ここまでのデプレシャン全部乗せ感がある。何が面白いか最後まで分からずも、なんか憎めない作品となった。
母の病気をきっかけに5年ぶりにクリスマスに集った家族が織りなす愛憎劇。両親に4人の兄弟、家族だからこそ許せること許せないこと、様々な感情が入り乱れ、それぞれの心理を読み取るのも一興。
ドヌーヴ様の貫禄、その他豪華キャストの演技だけでお腹いっぱいになった。

マチュー・アマルリックとメルヴィル・プポー目当てで借りたんですけどね😅

2022年家鑑賞93本目

2023年劇場鑑賞
記録

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