三つの愛の作品情報・感想・評価

「三つの愛」に投稿された感想・評価

大好きな小林正樹監督作品だから観たのだが…。 

登場人物のネガティブさが前面に出ているので、観ていてつらい。 

母親(望月優子)に口減らしに行かされる少年がいるかと思えば、岸恵子は貧しい画家と愛し合っているが病気を隠して学校音楽教師していたり、教授の家の母親(山田五十鈴)の息子は頭が弱い少年というこの三組の設定が、いずれもネガティブな個性を持っており、楽しい気分にはなれなかった。
主人公の子供がその役ではなくて、どうみても「単に下手くそな子役」にしか見えないのが致命傷。初期小林正樹の真っ直ぐな感じは俳優たちによって支えられているというか、彼らによって嘘臭さが気にならなくなっていることがよく分かった。

何を狙ったのか珍しく伊藤雄之助もミスキャスト。あの神父役はちょっと酷い。
小林正樹映画は尺が長いのでハズすと最後まで観るのがなかなかの拷問だということも思い出した。

唯一良かったところは、ヒモ画家・三島耕が教会にどなりこんで伊藤雄之助神父に「今すぐ(岸恵子との)結婚式を挙げさせて欲しい!」と懇願するシーン。

君らは洗礼をしていないから決まり上、今すぐはムリだと断りつつも、キリスト教徒でもないのに何で教会で結婚式を挙げたいのか?と三島耕にたずねる伊藤雄之助神父。

そこで「ただなんとなく。貧しい私たちでも祝福してもらえるかと思って〜」と悪びれることなくヘラヘラと即答する三島耕にはキリスト教徒でなくとも相当イラッとさせられて最高。三島耕のアホっぽい喋り方が最大限に活かされた名シーンだった。

で、結局はすぐに結婚式。洗礼はしなくてよかったのかな?
籠

籠の感想・評価

3.7
小林正樹映画祭をこれで開幕させてしまえば怖いものは何も無い。ハレルヤが延々と厳かに鳴り響く中で奇跡も映画的魔法も何も無い。原作の無い小林正樹オリジナル脚本による物凄い世界を見せつけられた。伊藤雄之助の神父の佇まいはある意味狂気を感じさせられ、観ながら晩年の「太陽を盗んだ男」のバスジャック犯を脳内で連想した。

このレビューはネタバレを含みます

小林正樹にしては面白い。
何と言っても伊藤雄之介の神父が最高。
自分を裏切った妻を看取るか葛藤するシーンは伊藤の独壇場。
障害児を抱えた母役の山田五十鈴も素晴らしい。
冒頭の馬になりながら泣く場面、あれは幸福の涙だったのかと…。

ただ、障害児が死んでも話に何の影響も与えていないように思える。
そりゃ死ななきゃ話終われなかったろうけどさ。