komo

メリー・ポピンズのkomoのレビュー・感想・評価

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)
4.5
ジェーンとマイケルはロンドンに暮らすバンクス家の幼い姉弟。両親はいつも忙しく、子どもたちの世話はほとんど乳母に任せきりにされていた。しかしいたずら好きのジェーンとマイケルにはどんな乳母もみんな手を焼き、次々と辞めて行ってしまう。
ある日ふたりが書いた『お願いの手紙』が空へと届き、魔法使いのメリー・ポピンズが新しい家政婦としてやってくる。
メリーの不思議な力と明るい歌声のおかげで愉快になってゆくバンクス家だったが、父ジョージはそれを快く思っていなかった。

かなり幼い時に観たことがありましたが、ほとんど憶えていなかったので続編の前に再鑑賞。
作品外でも有名な楽曲『チムチムチェリー』は物悲しい歌として記憶に残っていたのですが、劇中でこれを歌っているのは誰より明るい人物であるバート。今になってそれを知りとても驚きました。
ある時には大道芸人、またある時には煙突掃除人をしているバートはいついかなる時でも愉しげにしていて、生き方が羨ましいキャラクターNo.1です。メリーとはまた違った幻想性のある奇妙な人物。メリーは自身の口から多くのことを語るキャラクターではないので、バートの親切な台詞が物語の良い繋ぎとなっていました。

絵本のような世界観や愛らしいアニメーション、楽しい音楽や言葉の数々はどこまでも明るいものですが、それをより魅力的に見せているのは品行方正で厳格なメリーのキャラクター。
子供達を楽しませるけれど、永遠に楽しませるばかりではない。楽しむことは良いけれど、人に迷惑をかけたり、自分の周りを散らかすばかりでは良くない。まるで魔法でお部屋を片付けた時と同じように、メリーはジェーンとマイケルにとっての『楽しいこと』を秩序よく整然と提供してくれる魔法使いでした。

父のジョージ氏が絡むエピソードでは、子供が望むことと大人が望むことの対比が現実的で、どちらの立場も尊く感じられます。
ミュージカルって際限なく楽しいけれど、それを引き立てているのはリアリティのある世界観で、つまりこの人物たちも私たちと同じような世界を生きているのだなと考えると大きな勇気をもらえる気がしました。
そう感じさせてくれるエネルギーがあまりにも強く、名作に触れる楽しみをこうして味わえたことも幸せです。

最後に私事になりますが、2018年はフィルマークスに出会えたおかげで映画への気持ちを更に深めることができました!
読んでくださる方、いいねをくださる方の優しさのおかげで、好きな作品をもっと好きになれます。
拙い文章ではありますが、来年もよろしくお願い致します(^^)
komo

komo