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マイ・ベスト・フレンドのkomoのレビュー・感想・評価

マイ・ベスト・フレンド(2015年製作の映画)
4.3
ミリー(トニ・コレット)とジェス(ドリュー・バリモア)は、少女時代から全てを打ち明け合ってきた親友同士。成人となり互いに家庭を設けてからも、深い交流を続けていた。
ある時、ミリーが乳がんに冒されていることが発覚。初めは明るく振る舞うミリーだったが、乳房を失った悲しみで次第に自暴自棄になってゆく。
一方ジェスは、お腹に待望の第一子をもうけていた。しかし、それを誰よりも先に打ち明けたかったミリーは苦しみの中にいて、なかなか伝えることができない。対照的な明暗を行く二人の間に、徐々に亀裂が生じてゆく。


【甘えることは信じること】

トニ・コレットとドリュー・バリモアという二人の名優の、屈託のない笑顔や容赦のない怒りの表現が堪能できます。

互いの全てを伝えた親友同士って、ある意味配偶者以上に人生の柱のような存在。
まるで自分の一部のような親友に、人生最大のビッグニュースを伝えられないジェス。
やがて、乳房を失ったミリーは悲しみを発散させるための破天荒な旅行を望み、ジェスは大きくなりつつあるお腹を隠しながらそれに付き合います。しかし旅の途中で彼女たちは感情をぶつけ合い大喧嘩に。

自分の情報や感情をどこまで打ち明けるか。それは女性の友人間ではかなりシビアな問題かと思います。
『同じ女ならわかってくれるだろう』と信じていたことを受け入れてもらえなかった時のショックは大きいし、
逆に敢えて語らずにいたことで、相手を傷つけてしまったり。
そして、どうでも良い相手だったら怒りも傷つきもしないようなことでも、相手が親友であると『私がこうだったせいで彼女はこうしたのでは?』と、相手の行動に自分自身との因果関係を見出しがちです。
それは”依存”と表現することもできます。

しかしこの作品の清々しいところは、お互いの心の状態に起因するトラブルはあったものの、2人の関係が依存性の強いものとして描写されていなかったことです。

お互いのことが大切で、何をするにも相手の感情を思い、時には夫以上に優先する。
いつでも相手の元へ駆けつけ、弱音を吐き、甘える。
“甘える”というのは一見軟弱な行動のようですが、相手に対して強い信頼がなければできません。特に、本当に辛い時の自分を受け止めてもらうというのは、自分自身にも覚悟がなければできないものだと思います。
それができる彼女たちは、それが依存の関係ではなく、自立した人間同士の本物の友情なのだと証明していました。
エンディングを迎え感じたのは、まさに不滅の友情。
人間関係の難しさを表しながら、大切なことをシンプルに語りかけるストーリーに感動しました。
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