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カルメン故郷に帰るのたにたにのレビュー・感想・評価

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
3.6
【裸芸術】2022年160本目

日本初の総天然色映画、ということで日本初カラー作品である。
カラー作品がヒットしなかった場合を考慮して、同じシーンをモノクロでも撮影をするという手間をかけたそうな。


浅間山の素晴らしい景観の元で撮影されている今作では、東京から錦を飾るために里帰りしてきた女性2人が列車に乗ってやってくる。
その田舎に似つかわない奇抜な姿は、カラーであるが故に、場違い感を醸し出す。

そもそもカルメンというのがどんなジャンルか知らないが、いわば彼女たちはストリッパーなのである。
父親は娘の姿に羞恥し、好きでやってることとは言え、認めがたしと何とも言えない面持ちだ。

故郷で開かれるステージには、その裸芸術を一目見ようと沢山の村人が集まった。見たこともないその演目に唖然とする観客の姿が面白おかしく描かれる。

それとは対照的に学校の校庭でオルガンを囲んで踊る子供達。

不思議なのは、どちらも全く楽しそうではないということで、文化や芸術を重んじる感覚なのかもしれない。

戦後間もない日本で初のカラーということで、その色彩は自由と開放感を感じさせる。

歴史的一作である。
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