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金色の眼の女のFilmomoのレビュー・感想・評価

金色の眼の女(1961年製作の映画)
3.8
①この映画の製作前の段階から、ジャン・ガブリエル=アルビコッコとマリー・ラフォレは恋人同士となっていた。製作時は実の夫婦で、特にアルビコッコはラフォレに夢中だったらしい(しかしその後離婚)。このことを踏まえてこの映画を観ていると、ラフォレの美しさを引き出すための映画であると思える。私はフランソワーズ・ドルレアックの方が好みだが、この映画での彼女の扱いはぞんざいで、ドルレアックよりもラフォレを大いにフューチャーしている。そのラフォレは正体不明の女を演じており、つかみどころがなく、陰の部分が大きい。バルザックの原作小説をもとに、インスパイアされて製作したようだが、ストーリーよりも凝った映像を楽しむ作品のような気がする。②その撮影を監督したのはジャンの父親のキント・アルビコッコで、この2人の親子コンビは他にも『さすらいの青春』『別れの朝』を撮っている。いったい製作現場でこの父子の間でどんな打ち合わせがなされたのかは判らないが、初監督の息子に対して父がある程度イニシアチブを取ったのは間違いない。息子は主演女優にメロメロなのだからまともな演出ができるはずがない。その危うい、崩れそうで崩れていない均衡を保ってどうにか映画はエンディングを迎える。③女性を思うがまま、自分に恋をさせることをゲームのように楽しむ男ということでは『太陽の誘惑』の放蕩息子トーマス・ミリアンが貧しい出自のクラウディア・カルディナーレをものにするのを思い出す。もてもて男といえば『女は夜の匂い』のジャック・シャリエが、ミレーヌ・ドモンジョ、ジュリエット・メニエル、そしてマリー・ラフォレと美人たちからもててもててうらやましい限りだった。しかし共通して主人公は「手に入る女よりも手に入らない女」を求めるようだ。この映画では、マリー・ラフォレが、『女は夜の匂い』ではジル・ハワースがそうだった。このフランス人の独特な恋愛に関する感性は恋愛ジャンルの一つのお決まりのパターンなのかもしれない。
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