ウディ•アレン監督の作品は良くも悪くも"独り善がり"な印象を与えるものが多い。
本作は第50回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞を受賞するなど非常に高い評価を得た作品だが、やはり"独り善がり"な印象を受ける。
しかし何故だろう。
本作の"独り善がり"は妙に心地よい。
それは、本作が長回しや饒舌な会話などのウディ•アレンのスタイルを決定づけた作品であると同時に、多くの人々が体験したであろう愛を育む幸福と悲哀をユーモラスかつ繊細に綴りあげることに成功しているからであろう。
つまり、ウディ•アレン監督の作品の中でも多くの鑑賞者が共感しやすい作品なのだ。
NY、大都会に生きる男女の姿を通して"何故人は人を愛するのか"を陽気ながらも皮肉たっぷりに描く小洒落た会話劇。
男「私の弟は自分のことをメンドリだと思い込んでいます。」
精神科医「なぜ入院させようとしないんですか?」
男「でも、卵は欲しいんです。」
このジョークに感心させられるあたり、私もまたウディ•アレンの"独り善がり"に共感と羨望を覚えているのであろう。
あぁ、いい作品だなぁ。