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マイ・ウェイのMOCOのレビュー・感想・評価

マイ・ウェイ(1975年製作の映画)
4.0
「親父(ウィル)の気持ちが解ってきたよ。愛する人間を失った気持ちだよ。ひとりぼっちだ。ずいぶん寂しかっただろうな。昔から一人ぼっちだ。それを乗り越えるためスポーツに撃ち込んだんだ。人生と同じ、誰かが勝ち誰かが負ける、だけど諦めちゃだめだ。親父はそれを叩き込んだんだ・・・。僕にも息子ができたら必ず勝たせる」


 新たにウィル・マドックスマラソン大会を設立したウィル・マドックスは1948年オリンピックマラソン優勝者で妻フラン・デイバリエは1965年国際馬術大会優勝者です。

長男トニーはカーレーサー、次男バリーは長距離ランナー、三男ポールは短距離ランナー、末の娘サンドラは水泳選手というスポーツ一家です。
 そんなマドックス家のモットーは「先ず勝利者になること」
 ネイティ・カプランは常にウィルのパートナーであり家族のよき理解者です。


 マドックス家は建築家、三人の息子と街の大半の建設事業を行っています。三人の息子は三男ポールを生んで亡くなった先妻の息子です。

 トニーはレースで優勝した日、クラブ歌手のジュリアンを連れてウィルに結婚したいと紹介するのですが、ウィルに認めてもらえませんでした。クラブ歌手の女性などマドックス家には相応しくないという理由です。

 ウィルは三男ポールに跡を次がせたいのですが、ポールは自分の力で生きたいと会社を出て行きます。そして船乗りの父親を訪ねてイタリアから来た娘ジーナに出会い恋をします。

 末の娘サンドラは水泳大会で結果を出すことができずウィルに罵られ水泳をやめてしまいます。サンドラは負けることを恐れるあまり力を発揮出来なかったのです。

 長男トニーはウィルの画策でジュリアンを街から追い出されたうえ、レースの優勝が八百長だったことが世間に知れマドックス家を追放されます。勝つことだけを求めるウィルの考えがトニーに間違ったことをさせてしまったのです。
 追放されたトニーはケープタウンで暮らすジュリアンを見つけ出し結婚式を挙げます。レースに復帰したトニーは父親に認めて貰うために功績をあせり、下半身が不随になるほどの大事故を起こしてしまいます。
 ウィルにはもう次男バリーしかいなくなってしまうのですが、バリーは建築現場の事故で命を落としてしまいます。
 葬儀には車イスのトニー夫婦とポールが現れるのですが会社には戻らず各々の家に帰っていきます。
 ポールはジーナに結婚を申し込むのですが修道女になるためと、断られジーナはイタリアに帰っていきます。

 バリーを失ったウィルはマドックス家からウィル・マドックスマラソン大会の優勝者を出すため49才の年齢にも関わらず、スタートラインに立ちます。マドックス家のモットーは「先ず勝利者になること」なのです。そして同じスタートラインに立つポールを見つけます。
 
 ウィルにネイティ・カプランは「ポールのペースメーカーになれ」と言うのですができるはずのない優勝を狙うウィルは断ります。カプランはウィルに「私はずっとあんたのペースメーカーだった」と残念そうに返します。
 
 スタートして間もなく、短距離ランナーのポールの走りを見かねたウィルはポールにマラソンの走りを教えながら伴走し始めます。ポールのペースメーカーとして走り続けたウィルは力尽きポールにゴールを目指すよう言います。そしてポールは家族の見守るなか優勝します。
 リタイヤしたと思っていたウィルは泥だらけのボロボロになり、何度も何度も転びながらゴールを目指します。立ち上がることができないウィルに観客の厚い拍手と「ウィル」コールが・・・。そして・・・。
 ウィルは笑顔の家族に囲まれ・・・。

 引退したフランクシナトラの「マイ・ウェイ」をモチーフに作られたこの映画は公開前メディアで取り上げられ、スマッシュヒットしていると思うのですがDVD化されていない感動作です(シナトラは何度も引退・復帰をくりかえしています。また、この映画の主題歌はシナトラが歌っているわけではありません)。ボロボロになりながらのゴールはスローモーションが使われ感動的でした。60才台の多くの方がご覧になっているはずです。

「愛して笑って泣いて
すべてを失っても
涙が枯れ果てたいま
残るのは楽しい思い出
わたしがやって来た事は
何ひとつ恥ずかしくない
いやわたしではなく
わたしの辿った道は
男であることを求め
自分の姿を偽っても
感動は真実となって
だれの前にもひれ伏さず
記録を打ち破られようと
わたしの道を辿る」

 
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