茜

バッド・エデュケーションの茜のレビュー・感想・評価

バッド・エデュケーション(2004年製作の映画)
3.5
この映画では主に男性同士の同性愛が描かれているため、メインの登場人物に女性は殆ど登場しない。
結ばれなかった同性愛の悲しさ、神学校時代の神父から受けた性的虐待、そのトラウマから破滅に走る男等々…。
そんな複雑に絡み合った人間模様が、スペインらしい独特の鮮やかで力強い色彩によって、色気たっぷりに描かれていた。
特にイグナシオ役のガエル・ガルシア・ベルナルの表情がとても美しくて思わず見惚れてしまう。
そして光を落とした暗い画面でも、赤や黄色といった主張の強い色がしっかり生きていて、映像も非常に美しかった。
決して明るい話ではないうえに、物語も現実と(映画内で制作されている)映画の映像が混ざって進んで行くので、ちょっぴりややこしい。
でも見進めていくうちに意外な真実が明かされたりして、謎解きをするような感覚で楽しむ事が出来た。

欲望に駆られた神父に人生を狂わされたイグナシオ、そんな男に切ない初恋を捧げたエンリケ、
そしてイグナシオによって自分の家族や夢を乱された弟と、その兄弟への欲望で自滅していく神父。
複雑でなかなか現実味の持てない話ではあったけれど、醜い欲望すらも映像美で儚く綺麗に見える不思議。
茜