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閉ざされた森のYYamadaのレビュー・感想・評価

閉ざされた森(2003年製作の映画)
3.3
【サスペンス映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 観客の緊張感を煽る
 ○: 超常現象なし

◆作品名:
閉ざされた森 (2003)
◆サスペンスの要素:
・軍人殺しの夜に何が起こったのか?

〈本作の粗筋〉
・パナマの森林地帯。訓練中のレンジャー7名が嵐の密林で消息を絶ち、その17時間後、3名が発見されたが、彼らは味方同士で撃ち合い、うち1人が捜索隊の目の前で殺される。
・生還した隊員2名は、調査にあたったオゾボーン大尉と元レンジャー隊員のハーディに対し、訓練教官のウエスト軍曹を含む隊員4名が不可解な死を遂げたことを明かすが、それぞれが証言するたびに、事態は次々に新たな様相を見せていく。いったい何が起きたのか。最後に思いもよらなかった真相が判明する…。

〈見処〉
①見えているものだけが真実ではない。
 だれも信じてはいけない…
・『閉ざされた森』(原題:Basic)は 、2003年に製作されたアメリカ映画。『ダイ・ハード』などアクション映画を撮り続けてきたジョン・マクティアナンが初めてサスペンス映画に挑んだ作品。
・出演は、ジョン・トラボルタが事件を捜査する元レンジャー隊員役、サミュエル・L・ジャクソンが死んだ教官役と『パルプ・フィクション』の名コンビが再共演を果たしている。
・本作の原題「BASIC(本能)」は、トラボルタ扮するハーディー捜査官の劇中のセリフ「殺人は人間の本能だ。陰謀だとか不可解な謎とか黒幕の存在がなくとも、誰でも人を殺せる」から。
・登場人物それぞれの本能剥き出しの証言と行動により、本作鑑賞者にも本能的な先入観と思い込みが発生。公開後の評価により「どんでん返し」映画ランキングの常連作品となったが、公開時は50百万ドルの製作費の回収に至らなかった赤字作品であった。

②結び…本作の見処は?
○: 三転四転する本作は「どんでん返し」の多さでは他の作品の追随を許さない。映像化された供述内容が産み出す「先入観トリック」によって、ネタバレを見ても真相理解は難しいストーリー展開。
▲: というのも、作品冒頭に隊員個々の紹介描写が薄く、供述中にトラボルタ扮するハーディー捜査官が隊員名を連呼されても誰に言及しているのか、理解が追い付かない。「トム・ハーディ」という配役もややこしい。
▲: 更に嵐の中の「閉ざされた森」の薄暗いシーンでは、誰が何をしているのか
薄暗く誰だか解りづらい。理解が追い付かない。
▲: 加えて、各登場人物の行動原理の描写が弱く、何をしたいのか理解が追い付かない。
▲: 結局は、サミュエル・L・ジャクソンの進言によって書き替えられたとされる結末に向けた伏線配置が弱く、強引さだけが目立つ本作に「ヤラレタ感」はない。
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