わかめ昆布

ふるさとの歌のわかめ昆布のレビュー・感想・評価

ふるさとの歌(1925年製作の映画)
3.7
正確には50分弱。
溝口の貴重なプロパガンダ色の強い映画。

秀才だが、貧しいために皆と違って学校に行けず働く竹田君。
端正な顔立ちから賢さが伺える。
それと対称的なアホアホボンボンの太郎君。

常に馬車を前から、という目線が続くのが良い。シュールであり切なさもあり。

子供が溺れ、深川にガチで入り助けに行く、という当時のアツイ演出に感動。ガッツリ川を泳ぐ主人公ってありそうでないかも。斬新。

お礼にお金を貰い、それで学校に行けるのに「僕は日本人です」と断るシーン。溝口節炸裂!

しゃれた言い回しが多く、説明もふんだんに盛り込まれ、ここまで凝ったサイレント字幕は初めて。
溝口のこだわりが感じられて幸せ。
だからこそ制限されたラストはもったいない。


貧しいけれど幸せ!家族愛!田舎に帰ろう!という圧力のあるメッセージ。

しかし、プロパガンダ映画というのも、今見ると歴史的背景など考えずにはいられず面白い。
ある意味レアな作品であった。
わかめ昆布

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