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ユナイテッド93のYYamadaのレビュー・感想・評価

ユナイテッド93(2006年製作の映画)
3.7
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈9.11アメリカ同時多発テロ事件【1】〉
 ~ハイジャック機の攻防 / 2001年
・場所: アメリカ/ペンシルバニア州
・人物: ユナイテッド93機搭乗客

〈見処〉
①ハイジャック4機のうち、唯一の
「目的地未着」事件を描く
・『ユナイテッド93』は、2006年のアメリカ映画。
・本作の舞台は、2001年9月11日、ニューアーク国際空港発サンフランシスコ国際空港行き「ユナイテッド航空93便」。朝の離陸ラッシュのため、30分程遅れて出発しようとしていた頃、ハイジャックされたアメリカン航空11便、ユナイテッド航空175便がニューヨークのワールドトレードセンターに激突し、アメリカン航空77便がバージニアのペンタゴンに激突。ユナイテッド93便の操縦室もテロリストに占拠され、他機での自爆テロを知った乗客達はテロリストに立ち向かうことを決断する…(wikipediaより抜粋)
・本作は「9.11アメリカ同時多発テロ」のハイジャック4機のうち、唯一目標に達しなかったユナイテッド航空93便の離陸から墜落までの機内の様子と、地上の航空関係者たちのやりとりを描いた映画である。

②「現場目撃」のない史実の再現
・本作の製作は、まだアメリカ国民の傷口の癒えていない2006年。「現場目撃のない史実」となる本作の製作にあたって、ポールグリーングラス監督と製作スタッフは、ほぼすべての遺族と連絡をとり、了解を得た。
・また、本作のリアリティ追求のため、パイロットや客室乗務員役にはその職業の経験者を起用。ほぼ全ての出演者は無名俳優が中心に選ばれている。
・空港との無線等には、誤報を含む事件当時の実際の音声が一部使用されている。また、本作で描かれるユナイテッド93便のフライト時間は、実際の事件とほぼ同等にて構成された。
・公開前のパニック映画さながらの予告編上映時には、大きなバッシングがあり、グリーングラス監督と遺族が本作の意義を語りかける予告編に差し替わったそうだ。

③結び…本作の見処は?
◎: 現場での当事者は全員死亡しており、本作で描かれる史実に目撃者は存在していない。本作ではテロと戦った被害者への称賛ではなく、未曽有の事態に対して、当事者それぞれが役割を果たしていく姿をフラットに描写。検証作品として価値が高く、このような作品を製作したスタッフやユナイテッド航空の勇気を讃えたい。
○: 「ハンディカム撮影」+「超短カット編集」+「無名俳優」により、ドキュメンタリーさながらのリアリティー高い作品となっている。
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