ペコリンゴ

ホテル・ルワンダのペコリンゴのレビュー・感想・評価

ホテル・ルワンダ(2004年製作の映画)
4.1
記録。
世界が救えなかったジェノサイド。

1994年に発生したルワンダ大虐殺。対立関係にある多数派のフツ族と少数派のツチ族との間で勃発し、たかだか100日感の間に50万人(諸説あり)もの人間が殺害された。

この犠牲者数は当時のルワンダ全国民の1割に相当し、あのホロコーストの3倍にもなると言われている。アフリカ史上最悪の悲劇であるこの恐ろしい事実に基づいて制作された作品が本作だ。

アフリカのオスカー・シンドラーとも呼ばれるポール・ルセサバギナを、最近はMCU作品でお馴染みのドン・チードルが演じている。

これは非常に怖い作品だ。
起源的には同じである言わば同胞同士が殺し合う。何の罪もない人間が老若男女問わず無下に殺され、大量に路上に横たわっていた事実は想像に余りある。それでもいざそういうニュースを目にすると、ディナーを続けてしまうのだろうけど、せめて関心だけは持っておきたいものだ。

主人公であるホテルマン、ポールの英雄譚としても秀逸な作品で、数々の危機的状況を目前にし、武力に対して機転と資源でかわしていく。どの局面でも常に紙一重。ギリギリ過ぎて息を呑む。

世界から見捨てられても、決して見捨てようとしなかった男の立ち回りは心に焼き付ける価値がある。これは観て良かった。