円柱野郎

砂漠の鬼将軍の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

砂漠の鬼将軍(1951年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

“砂漠の狐”の異名を持つ第二次大戦の伝説的独軍将帥・エルヴィン・ロンメルの後半生を描いた伝記映画。

ロンメル元帥といえば、やはり異名の基になった北アフリカ戦線での活躍が有名だけども、この映画はそのあたりはサラッと触れるに留まり、欧州帰還後から死までの彼の人物像を中心に描いている。
邦題の「砂漠の鬼将軍」は内容からすると少々いかめし過ぎる気がするけど、まあ時代の事もあるだろう。
とにかく、第二次大戦からたった6年後に米国映画で独軍元帥の伝記映画が作られるのだから、彼の人気がどういうものだったかがうかがい知れるというもの。

劇中のロンメルはイメージそのままに高潔な軍人として描かれるし、彼の最期がヒトラーによる謀殺じみた自殺であったことも、より悲劇の英雄としての印象を深くしている。
映画にあっては彼の妻との窓越しの別れのシーンが印象的。
都合2回、同じ様な別れの場面が描かれるけども、お互いに永久の別れと確信している二回目のシーンには胸が熱くなった。
名シーンだと思う。

劇中では軍人として総統を信頼している様子と、戦術・戦略においてはあきれ果てている様子が描かれ、彼の「総司令部からの明快にして愚劣極まる指令だ」等のバッサリ切った台詞は小気味良くはあるが、現場指揮官の心中を察するには余りある感じ。
実際にロンメルがヒトラー暗殺計画に関与していたかはよく分からないが、ドイツのためにはヒトラー政権では駄目だという想いが感じられる様な描き方だったね。
西方総軍司令のルントシュテットと、ヒトラーやヒトラーの戦術を「ボヘミアの伍長」「彼の占星術作戦」などと揶揄している姿が可笑しくも妙に悲しい。
円柱野郎

円柱野郎