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凶人ドラキュラのhorahukiのレビュー・感想・評価

凶人ドラキュラ(1966年製作の映画)
3.7
無言の迫力!

再びドラキュラ役にクリストファーリーを迎えた『吸血鬼ドラキュラ』の正当続編。ハマーフィルムの吸血鬼ものとしては4作目。ルゴシのようにドラキュラ役にイメージが固定されるのを嫌がったリーはドラキュラ役を断りたかったようだけど、もしリーが断ったら多くのスタッフが露頭に迷うから受けたらしい…😅それ半分脅しやん🤣

それでもやっぱりリーの存在感は凄くてカムバックには素直に感謝!本作でのリーのセリフは一切なく、顔面力全振りで押してくる迫力よ😂

『吸血鬼ドラキュラ』のクライマックスであるリーとカッシングのバトル回想から始めることでドラキュラ不在な地続きの世界線であることを印象付け、そこからドラキュラの復活までを描く前半と美女を巡って大暴れする後半といった構成。旅行で山奥に遊びにやってきた(一部)若者集団が、途中で出会う地元の人の「あそこには絶対に行くな」という警告を聞かず、たどり着いた先で「何か」に消されていくというテンプレ展開の原型のようなオリジナル脚本も面白い。

本作は4人グループでカールスバットというドラキュラの城がある地方に遊びにやってくる。城なんて全く興味もなくて、あることすら知らなかった4人が引き寄せられるように城へと到着してしまう。城には絶対に行くなという神父からの忠告。夜には絶対に馬車を出さないという御者。代わりにどこからともなくやってくる無人の馬車と勝手に連れて行かれた城。そして何故か既に人数分用意されてる食事。そんなおかしな状況でも、1人以外は全く危機感を示さない。

作中のセリフでもあるように、こういったところにイギリス的傲慢さが現れているんだろうね。同じくハマーフィルムの『恐怖の雪男』『ミイラの幽霊』等々でも顕著だけど、被侵略国の文化を蹂躙する侵略国としてのイギリス批判がハマーホラーには強烈に盛り込まれているし、心の奥底に根付いた優劣に対する劣側からのモンスターというのはまさしくクラシックモンスターらしい。

そして見どころはやっぱりドラキュラ復活シーンの特殊効果(?)で、『インビジブル』や『ヘルレイザー』への影響を感じさせる無から徐々に受肉していく流れをワンカット(多分擬似)で見せつけてくる嫌悪感。最後は文字通り煙に巻くんだけど、アハ体験的に人型が出来上がっていくのに見入ってしまって、巻き戻して二回見た!あと『タイタニック』のラストっぽいシーンもあった🤣

吸血行為=性行為の定石通りな秘匿されたエロさを感じさせるマントの気品。周囲から隔絶された闇の中の相対したパーソナル空間で現れる性器的キバ。そうかと思えば、手に入れた女(オバさん)の義妹が若くて可愛いもんだから義妹の方に夢中になり、速攻で「お前はもうええよ」とオバさんを突き放すドラキュラさんの下半身に正直すぎる生き様には気品なんてものは全くなかった…😂いつものことなんだけど、若い女を前にした時、目が真っ赤に血走しるという必死さよ!🤣
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