MOCO

僕は天使ぢゃないよのMOCOのレビュー・感想・評価

僕は天使ぢゃないよ(1977年製作の映画)
2.5
「愛は愛とて何になる」

 そもそも1970年に漫画ガロに連載されたアニメーター林静一氏の『赤色エレジー』に感銘を受けたあがた森魚氏が1972年にその世界観を歌にした「赤色エレジー」がヒット曲となり、林静一氏の『赤色エレジー』も広く知られました。あがた森魚氏が「赤色エレジー」を通じて得た収益を投じて1974年に『赤色エレジー』の映画化を図ったのがこの『僕は天使ぢゃないよ』です。劇画『赤色エレジー』なくしては、あがた森魚氏は存在しないも同然、『赤色エレジー』愛は原作者林静一氏を越えてしまっているのかもしれません。
 あがた森魚氏は製作・脚本・監督・主演・音楽とマルチな才能をみせたのですが、映画の失敗で多額の借金を負ったといわれています。

 あがた森魚氏はラサール高校から明治大学へ進む秀才で、そのフォークソングは演歌を思わせる独特な世界観があり、映画の世界観もまた独特です。この映画はあがた森魚氏に好意的な人には斬新な作品と高評価ですが、セリフは敢えて棒読み風、劇画のコマ割りのような進行、突然のミュージカルなど一般的には受け入れがたい映画だと思いますが友情出演なのかキャストは奇妙な豪華さがあります。

 う〰️ん、是非観てくださいとは言い難い。盛り上がりもなく、たんたんと終わっていきます。ただ個人的に「俺たちの旅」に出てくるような生活感や、景色は親近感があり、舞台劇のようなセリフの言い回しもじゃまではありませんでした。

 あがた森魚氏の後期の活動グループ「ヴァージンVS」の歌を好んで聴いていた私はかなり好意的な見方をしています。

 ちなみに林静一氏はロッテの小梅ちゃんの大正時代ぽいパッケージイラストを描いている人です。
MOCO

MOCO