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アンブレイカブルのbackpackerのレビュー・感想・評価

アンブレイカブル(2000年製作の映画)
4.0
ヴィランが抱える孤独の病には、正反対の人間が必要だ。ヒーローの存在が。

ーーー【あらすじ】ーーー
フィラデルフィア行き列車脱線事故に巻き込まれたデイヴィッドは、132名の乗客が死亡するなか、唯一人生き延びた男がいた。……まったくの無傷で。
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シャマラン監督×ブルース・ウィリス。
異色のヒーロームービー。個人的には昔から凄く好きな映画です。

[序盤]
産まれた時から両腕両脚を骨折した赤ちゃんの誕生。
脱線事故。ワイパーに挟まれた「最後に病気になったのはいつだ?」という手紙と、自分という存在への疑問。妻と息子との溝。
[中盤]
コミック研究家イライジャとの出会い、そこで告げられた可能性。
フットボール場の警備員として働く自分と、頭に浮かぶビジョン。息子の期待と苦悩。
溺れる者は唯の人か、否か。
[終盤]
弱点の露呈。逃げ続けた自分へ向き合い、力を認めるデイヴィッド。
指命と道を示すイライジャ。
救え、人々を救え。


終始薄暗く淡々としながらも、ロングショットや独特のカメラワークに惹き付けられます。
イライジャとコミックの出会いなんて、わざわざカメラをぐーるぐる。
でも、この凝った感じがいいですよね。
雨の中佇む姿とか、カッコいいです。

初めて見た時は、ラストの展開が少々性急で、ちょっと物足りなく感じ残念でした。
その後は、こじつけのように回収するラストがいらないと感じていました。
しかし、スーパーマンのような、周囲を圧倒する超能力を持たない、くたびれたおじさんが、この映画の主人公なのです。
あっさりとした引き際、それでいいんだと、今では思えます。
むしろ、物語の結末を用意せず、ダラダラした雰囲気を残すより、余程ましかという考えにいたっております。

普通に暮らす、少し普通じゃなかったおじさんが、唐突にその異常さを突きつけられ、自覚と棄ててきた過去に葛藤する。
こんなヒーロー物、好きです。
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