クレセント

ミスティック・リバーのクレセントのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.1
男は、窓から虚ろな目で町のパレードを見ていた。心の中では犯した過ちを悔いていた。そして不審に思った妻に告白をした。妻は男を抱きしめた。ジミー、貴方の心に触れさせて!娘たちを寝かせるときにあなたの心の話をしたわ。どれほどケイティを愛していたかを。だってあなたは父親ですもの。あの子を愛する心が大きすぎて破れそうで心配だったの。だからあの子たちにも言ったわ。パパはあなたたちもそれほど愛してるのよって。心が4つもあって全て愛に満ちているから心配ないわ。愛する人のためならパパは何だってできるって。そしてそれはいつも正しいの。決して間違いはないのよって。あの子たちそれを聞いて安心して眠ったわ。貴方は王様よ。王様はそれがどんなに難しくても必ずするのよ。パパは愛する者のためなら何でもする。それが大切なのよ。だって皆弱いけど私たちは違う。わたし達は弱くない。貴方はこの町の支配者なのよ。彼をそれを聞くと黙って彼女を引き寄せた。外ではパレードが続いていた。大勢の群衆に交じって幼馴染の警官がいた。彼は群衆の中にジミーを見つけた。そして真顔になると手のひらで撃つ真似をした。ジミーは平然としていた。まるで迷いから吹っ切れたようにサングラスを外すと手で拭った。そしてその先に帰ってこない夫を必死に探す女がいた。女はパレードの車に乗っているわが子を見つけた。そして追いかけながら夢中で叫んだ。マイケル、マイケル!それは女の縋(すが)るような悲痛の叫びであった。しかしその叫び声も空しく雑踏にかき消されてしまった。男は愛する者のためなら何でもする。それが大切なのよ。女の言葉が妙に心にこだましていた。
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