むぅ

重役室のむぅのレビュー・感想・評価

重役室(1954年製作の映画)
3.8
「そういう事か!!」

以前の職場で、まぁとにかく厳しい上司がある日突然優しくなった。
こちらとしてはザワつくなんてもんではない。
同僚達と飲みながら密談である。
数日後、同僚とのグループLINEが鳴った。
「出勤したら業連見て」
翌日朝番だった私は着いてすぐPCを開いた。

【マネージャー他己評価シート】

思わず笑ってしまった。
怖いのと厳しいのは違う。
怒られるのと叱られるのは違う。
そして、トップにはトップの孤独と苦悩がある。理想があればある人ほどそうだと思う。
自分は変わっていないつもりでも、立場が変われば人からの視線は変わるものなのだという事は私だって経験がある。
誰だって人の目は気になる。

可愛い人なんだなと思った。
訪店のたびに凄い目ヂカラで詰めてくるので、せめて目ヂカラだけでも遮断しようと訪店の日は伊達メガネをしていたのだが、もう外してあげよう。そしてその伊達メガネの理由をお店のアルバイトのみんなが知ってる事も本当すみません、と思った。

今なら思う。
あの個性の強いメンバーを一つのチームにまとめ上げるのはどれほど大変だったろうかと。


大手家具メーカー、トレッドウェイ社の社長の急死。
そこから社長の椅子を狙っての重役たちの知能的闘争が巻き起こる!さて、社長の座につくのはいったい?!


古今東西 人のやること
さほど変わらず。

何も社長の座につくための闘争に限らない事なのが面白い。
何かが起こった際
・人の足を引っ張る人
・自分の利益を上げようとする人
・傍観する人
・自分の道を突き進む人
・空回る人
・バランスを取ろうとする人
・論点のズレる人
・なぜか蚊帳の外だった人
様々に描かれる。
未来永劫 社長の座を奪う日なんて来はしないが、身近なことに置き換えて観るとなかなか刺さる。
そしてチームである以上、何を達成するためのチームなのかという事がボヤけると力を発揮しなくなるし、リーダーに何が必要なのかを改めて痛感させられる[お仕事だけどお仕事だけではないよムービー]

約70年前の作品が、現在でも違和感なく楽しめる事に問題を感じない点を、傍観する人にならないよう受け止めなければ。


「むぅさん何してるんですか?」
「ん?◯◯さんのね、他己評価シートっていうのの入力」
「やりたい!」
「なんでよ」
「◯◯さんのじゃなくて!むぅさんの!」
「!!」

恐ろしや。
何事もその人の立場にならないとわからないことってあると震えたことを思い出した。
むぅ

むぅ