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スリーピー・ホロウのhorahukiのレビュー・感想・評価

スリーピー・ホロウ(1999年製作の映画)
3.3
首なし騎士伝説にジョニデが挑む!
執拗に首ばっかり狙う首フェチなウォーケンが人をバッサバッサ殺すもんだから、それ見てヘタレなジョニデがひとりでビビりまくるゴシックホラー。

あらすじ…
合理的な科学捜査の重要性を主張する主人公はアホな上司たちに煙たがられ辺境の村スリーピーホロウに派遣される。そこでは首を切断される事件が2週間のうちに3件起こっていた。伝説の首なし騎士が犯人だと言い張る村人を小馬鹿にしつつ、科学捜査にあたる主人公だったが…。

ティムバートンが巨匠マリオバーヴァに影響受けまくってるのが良くわかる映画。冒頭の馬車のシーンなんて構図含めて完全に『血ぬられた墓標』へのリスペクトだし、顔が穴だらけな女性というイメージも同作へのオマージュ。

そして、モノクロに近い色調でのゴシック色溢れる舞台の美しさはひと昔前のホラーのようでありながら、そこにバートンらしいファンタジー色を合わせることで、凄惨でグロテスクな内容である本作をうまく調和している。この世界観はバートンしか出せないものだから本当に素晴らしい!

本作は、科学と宗教の対立をひとつの要素としていて、科学に基づいた合理的な思考での捜査を主義とする主人公が聖書どっぷりな村に切り込んでいくお話になっています。村では連続殺人の犯人は伝説の首なし騎士だとされており、そんなものを信じない主人公は鼻で笑うわけですが、実際に見てしまうからさあ大変と言った感じで、観客も主人公と同じように科学が通用しないダークファンタジーの世界へと徐々に引き込まれていく。

主人公は幼少期のトラウマのせいで宗教を嫌い、科学という合理的なものしか信じないようになってしまっています。だから科学捜査に傾倒しているわけですが、本作は宗教に代表される「形のないもの」を決して否定するような作品ではなく、作中のまじないのようにその重要性をしっかりと提示する。本作は、宗教を否定し科学や目に見えるものだけに囚われていた主人公が、スリーピーホロウという死人が跋扈する場所で宗教やまじないに触れ、それらの行き着く先として幼い頃に失ったはずの愛を手に入れるという、主人公にとっての再生物語でもあるわけです。

それとホラーとミステリーの融合のさせ方も良い。本作はオカルトホラーなわけなので殺人犯は幽霊なんですよね。だからミステリーとはあまり相性が良くなさそうに見えるけど、本作はミステリー要素を犯人探しそのものではなく別のところに置くことによって、しっかりと謎解きミステリーとしても成立させてる。目の前で暴れてる幽霊を尻目に別のベクトルで物語を進めていくというのは面白いですね。

前半は結構退屈だったんですけど、中盤以降は面白かったです。でも、この微妙にコミカルな感じとかファンタジー方面に傾き過ぎなところがあんまり好きじゃないかな〜(^_^;)
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