ねこ無双

デモンズ’95のねこ無双のレビュー・感想・評価

デモンズ’95(1994年製作の映画)
4.5
ここは現実か空想か。
死者はばんばん復活するけど、ゾンビものか、怪奇幻想か、サイコスリラーか、コメディか、不条理か…これ!って定義づけするのが難しいホラーです。
デモンズ人気にあやかった残念な邦題がつけられてるけど、原題は主人公の名前から。

オープニングはゾンビ脳天に銃弾一発ショット。カッコよすぎ!
主人公フランチェスコの背後に広がる墓地。
フランチェスコは市の委託で墓守り仕事をしている。
相棒のナギは見た目おっちゃんなのに、子供のような無邪気な可愛いさ。スプーンをグー握り。猫も外をうろうろ。

原因は不明だが、墓に埋めた死者が蘇るので夜毎処理する二人。
仕事は際限なく続くが、誰も信じてくれない。
死から7日目に蘇るリターナー(ゾンビとは言わないんだよね)には、シャベルかダムダム弾(体内で炸裂する弾)をぶちこむ。

ほんとに絵作りが美しくて見とれる。
もやの中の青く光る墓地も、風の吹き荒ぶ枯葉舞う昼間の墓地も。
水溜りの揺れる水面に映る美女。
どくろインテリアの納骨堂は水に浸かってて神聖な雰囲気さえ漂う。キスシーンに360度で回転する納骨堂!

リターナーの造形も面白い。
地面を飛び出てくるバイカーリターナーやベールをつけた生首リターナー、樹木と融合したメデューサみたいなリターナーなんかもいます。

くわえタバコでハードボイルドタッチな主人公。
電話で世間話しながら次々姿を現すゾンビを銃で連射。
相棒ナギは死んだ少女に一目惚れしてゾンビとしての再会を待ち望む。
彼女が好きすぎて顔を持ち上げたら首が取れちゃう!

ある日、炎の燃えかすから出てきた死神に死者を殺すな、生者を殺せと誘惑されてから空想と現実の境界線を失っていく。
畏怖溢れるこの死神の造形もほんと素晴らしい。

愛する女性、愛する女性と瓜二つの女性達…夢かうつつか次々現れ消えてゆく中、周囲で殺戮事件が起きてゆく。

死者と生者との境目、現実と空想の境目、曖昧な世界に閉じ込められ、観ている側も混沌の世界へ。
初見時はラストに痺れました。

ミケーレ・ソアヴィ監督はダリオ・アルジェント監督に師事し、マリオ・バーヴァ監督とも親交のあった人。
なかなか男前なルックスで、俳優も務められてました。
他にはスラッシャーホラー『アクエリアス』なんて有名な監督作品があります。
一時期のイタリアンホラーを間違いなく盛り上げたうちの一人。

ーーーฅ (ↀᴥↀฅ) و
(今フィルマで表示されてるジャケはマカロニホラーコレクションの3作品が融合化したものになってます)