昔の日本映画は保存することに対して、決して良い環境ではなかったので、どんな名作でも完全な形で残っていることは稀です。
巨匠伊藤大輔監督の名作も多くが完全版では観られず、本作は日活110周年記念のブルーレイの『忠次旅日記』に同時収録されていますが、クライマックスの15分のみが現存。
クライマックスの一巻のみが残っていたということで、壮絶な反幕府志士と新選組の大チャンバラが観られます。
これがまた凄まじい迫力です。
サイレント映画ということで、映像で全てを表現するための技術は、サイレント映画期の終焉を前に、最高峰を迎えており、大河内傳次郎さん演じる主人公が大軍で押し寄せる新選組との大合戦。
リズムと迫力。
15分のクライマックスのみでも観入ってしまいます。
クライマックスだけが現存しているのですが、これがクライマックスだったら、ここに至るまでのドラマも凄まじいものがったのだろうな、と思うと、日本映画界の損失も尋常ではないですね。

現存しているラスト13分の断片のみ(全体の1/9)。 俯瞰/主観/フラッシュバックが誇張の領域を超えた死闘の中ついに叫び声が太文字で表れるとき、死を覚悟した男の聞こえるはずのはい言葉を受け取った男女との空間超越の切り返しが起こりる。
前衛的な映像表現はここで頂点を極めたかのように思うが、特に冒頭の御用灯に囲まれるシーンと目眩でほとんど何も見えなくなった大河内傳次郎の短い主観は伊藤大輔オリジナルだったと思う。神。

前から観たかったが、なかなか観る機会がなかった伊藤大輔監督の伝説の作品『忠次旅日記』と『長恨』の一部が、日活110周年記念Blu-rayで発売された。マジか⁉️嬉しい😂即買い。観る。

『長恨』は『忠次旅日記』の2つ前の作品。
フィルム全9巻の最後の1巻、13分間乱闘シーンのみ。しかしここのシーンが残っていて良かったのでは。面白い。

「寄らば、斬るぞ！！」一人の男を大勢の御用侍が取り囲んで斬りかかるが、バッサ、バッサと切り捨てる強い？！最初からクライマックスだぜ（それしか残ってないので😆）～はじまり

勤王志士の数馬と次馬の兄弟は、共に雪江を愛していた。3人が新撰組に包囲されると、兄の数馬は自ら盾となり、弟次馬と雪江の二人を逃し、自分一人で新撰組に立ち向かうのであった。。。というおはなし、らしいです。クライマックスしかないので、このストーリーの前提を押さえておけばOK🙆‍♂️

大河内傳次郎が初めて、伊藤大輔監督作品に出演した作品だそうですが、やっぱり素晴らしいです。兄数馬：大河内傳次郎が、動く動く。斬る。飛び跳ねる。回転する笑。。。凄い運動量とエネルギーに圧倒されます。

少し俯瞰気味のキャメラで、数馬を取り囲む新撰組（丁度大河ドラマ『新撰組！』観ているのでなんとタイムリーな？！自分だけ笑）
1対大勢の無理ゲーな状況の中、次々と追ってを斬り返して大暴れ、自分もそれなりに斬られているのになかなか死なない笑。化け物的しぶとさのキャラクターは、やっぱり大河内傳次郎故の説得力。後半落ち武者髪になって、一層化け物ぶりが凄くなっていきます。ここら辺のキメ顔、顔芸の数々いいですよね。大河内傳次郎の真骨頂。

平行カットで、逃げ惑う弟次馬と雪江の移動と、数馬と追っての移動のスピード感凄いです。御用の提灯のオーバーラップの連続とか、手持ちカメラだあっちこっちふってみたり、追っての視点、追われる視点等々激しく見せてくれるのは、本当に当時熱狂させたに違いない面白さを感じます。

今回は、マツダ映画社の坂本頼光さんの活弁と、昔の演奏音源で観られる贅沢。やっぱり剣劇映画は活弁上映が面白いです。アガります。

長恨というのは、どうやら雪江が好きだったのに弟に譲ってしまった兄の後悔らしいのですが、完全版通して観れたらさらに面白かったかもしれないですね。でも脳内補完でも十分面白いです。

1995年に寄贈されたフィルム🎞らしい。やはり誰かが密かに持ってる貴重なフィルム🎞はまだまだありますね😆