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バス174のbackpackerのレビュー・感想・評価

バス174(2002年製作の映画)
3.0
歪み。

オリンピックが開催されたブラジル・リオデジャネイロで実際に起きた、バスジャック事件を追うドキュメンタリーです。
問題の本質である、ストリート・チルドレンと貧困に焦点を当て、国の闇を描きます。

青年サンドロが、白昼堂々起こしたバスジャック。
なぜ、彼はこんな事件を?
警察・実叔母・ストリート時代の仲間・人質となった人々・刑務所関係者・ドラッグの売人等々。
彼らの話から、サンドロの人生と彼の苦しみ、ストリート・チルドレンや麻薬の問題に迫ります。

サンドロは子どもの頃、目の前で母親を刺殺されました。その時を境に、彼の人生は狂っていきます。
母の事を忘れようと、叔母と妹のもとから家出、ストリート生活をはじめます。
しかし、ストリートの子どもたちは、世界から見えなくなるのです。
臭いものには蓋をする、彼らがそうなった原因を考えず、ただ発生した彼らそのものを攻撃していく世の中。
歪み、生じてますねぇ。

警察からの暴行、怨嗟を加速させる更正施設、劣悪な環境の刑務所、救いのない世界。
刑務所内の囚人たちの、必死の訴えを捉えたシーンなんて、強烈です。
あれは本物でしょうか?
本物の映像であって欲しいですが、現実であってほしくない。
ドキュメンタリーの真実性を意識するのは当然かもしれませんが、なんだか無性に気になってしまいます。

迎える結末も、酷いものです。
歪み、歪み、歪み。
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