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断崖のRのレビュー・感想・評価

断崖(1941年製作の映画)
4.3
お嫁に行き遅れたお堅いインテリ(とはいえかなり頭が弱い)美女が、社交界でモテモテのとんでもなくチャラいスーパーイケメンに誘惑されて、まさかのフォーリンラブ! シリアスなつもりのなかったイケメン君もまさかのフォーリンラブ! パパの反対を押しきってまさかの結婚! 空前絶後のバカ夫婦誕生! よかったやん! はははははは! よかったやん! しかし、ここから現実。このイケメン君、実は一文無し。てか借金まみれ。プラス職なし、ギャンブル癖あり。しかも、チャンスがあれば、勝手に人の貴重品を売って金に換えたり、会社の金を着服したり、好き放題。向こう見ずでただやんちゃなだけに思えた旦那だが、ひょっとして、ほんとは殺人鬼なのではないか…という疑惑に、奥さんが少しずつ取り憑かれていく、というストーリー。軽快でコミカルな前半の雰囲気に、少しずつ、あれ?あれ?とグレーな不安が加わっていって、その空気がどんどんダークな不信へと変化していくプロセスは、さすがヒッチコック!とうならざるを得ぬ。ただ個人的な好みから言うと、他のヒッチと較べると影の少ない白っぽい映像に少々面白みが足らぬかな?とも思った。そろそろ後半!ってなってもそれほど闇が広がるわけでもなく、あらま、と思っていたら、終盤はおおっ!ついに来た! 旦那さまの表情も翳り、妻の疑惑も高まり、画面に闇が広がる。そして、あのあまりにも有名な階段シーンでそれが頂点に! わーーーーい! と思ってたら、最後はちょっと意外な結末が待っている。てか、え?それでいーの?そのおわりでいーの?何も解決してなくね? 奥さん、それでいーの?いーの?いーの? いーよ、いーよ、いーよ、見つめればいーよ、どうなるのかなんて、わかりたくない。って感じでした。情熱。それだけで媚薬。どの時代も、イケメン、最強。やっぱヒッチコックの心理サスペンスは目が離せない! スリル満点! 楽しい!
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