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ザ・デプスのhorahukiのレビュー・感想・評価

ザ・デプス(1989年製作の映画)
3.6
無能なオッサンに失笑…

『13日の金曜日』で有名なショーンSカニンガム監督による深海ホラー。恥ずかしながら『アビス』は未見なのですが、『リバイアサン』とは甲乙つけられないくらい両方好き!『アビス』を源流とした模倣なのだろうけど、全部89年製作というスピード感がエゲツない。私は見てないけど、他にも『新リバイアサン』『マンタ』も同年。89年の深海への情熱凄すぎだわ…😂いったい何が!

海底にミサイルを設置する政府主導のプロジェクト中に、海底洞窟から先史時代の怪物が解放され、それにビビった船員たちがアホなことやって勝手に死んでくお話。レーガン政権下の戦略防衛構想に着想を得ているのだろうけれど、それを絡めることで、深海→宇宙開発へと間接的に主題を転換させることに繋がっているのが面白い。

場所を宇宙から海に移した『エイリアン』のような内容で、『遊星からの物体X』みの強かった『リバイアサン』とは似ているけれど、誰が怪物か…といった疑心暗鬼に陥るあちらとは違い、本作は海底の古代怪物を扱う以上に怪物に直面した乗組員の反応を扱っている点でそれなりに差別化されている。

もちろん低予算だからということもあり、怪物に直接的に乗組員が殺されることは殆どないのは『エイリアン』を源流とするモンスターホラーとしては残念だけど、PTSDや閉所恐怖症、海底という只でさえ精神をすり減らされるような場所で休む間もなく奴隷のように働かされることで正常な思考が崩れ去っていく様を突きつけるのは海底版『エイリアン』として真っ当な姿勢だと思う。そして、雇い主側が一切映らないのも『エイリアン』を踏襲している。

6ヶ月もの間海底基地で過ごした心的な落ち込みを基地内で映し出されるアイテムで語っていく手堅さや、自然と意識づけられるキャラの選定、『リバイアサン』と違って潜水艦その他の機器が稼働している姿を外側から撮影する特撮感、そしてカニンガムだからグロもちゃんとあって、中でも減圧で体がグチャグチャになっていくところは最大の見どころ。ラストには『13日の金曜日』へのセルフオマージュもあって面白かった。

そんで無能な乗組員の自滅具合がサイコーに笑えた🤣海底で怪物に襲われた→どうしたら良いのかわかんない→コンピュータに聞いてみよう→コンピュータ「敵からの侵略?敵にミサイルの技術取られたらダメだから爆破してね!」→よし今すぐ爆破だ!→海底基地大破→え?ぼくたち死ぬんだけど…の流れよ。そしてその張本人が「誰のせいでこんなことになったと思ってんだ!」とか喚き散らすというね。どー考えてもお前のせいだよ。
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