かつきよ

母なる証明のかつきよのレビュー・感想・評価

母なる証明(2009年製作の映画)
3.8
2014年あたりに、「衝撃的な結末!」と聞いて借りて鑑賞した映画。急に思い出したので簡単レビュー

最初は韓国の映画とは思わず、やはり馴染みない国の映画は文化の違う雰囲気に戸惑いますね。
しかし、殺人の容疑者となった知的障害のある息子の無実を証明するため、事件の真相解明のために奔走する母の執念が凄まじく、ぐいぐいと映画に引き込まれました。

独特のしめりけ、熱の帯び方、生々しい日常、残酷さ、日本の名作映画にも共通する湿度がある作品です。

被害者について、犯人について、人間関係について、人物像について、どんどんと明らかになっていくミステリの要素も面白く、そこから明かされる真実には呆気に取られてしまいました。

しかし、この映画の魅力は真相とかミステリ的なトリックとかプロットではなく、タイトル通り「母なる証明」そのもの。
息子を信じる母の執念と、、、ラストシーンはとにかく、なんと形容したらいいのか。「動」ではなく、「静」で終わる映画なのですが、その不気味さというか、歪んでいる感じが、後を引いて、胸に詰まる感じ。

好きな映画かどうか、と言われると、こういった湿り気を感じる作風は好きでは無い……はずなのですが、鑑賞後10年近く経っても大筋や各シーンが思い返せるほどの強烈さと求心力は、名作映画ならではのものなのかなと思います。

なんというか、全然見当違いな事言ってたら申し訳ないのですが、是枝監督の映画とか、吉田修一の作品とか、そういう日本作品が好きな人はハマる作品だろうなと思いました。
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