シニカルさと過剰な暴力表現たっぷり。まさにバーホーベン監督って感じだ。民主主義が崩壊した世界観、軍隊に入らなければ市民権が得られない近未来社会、露骨に胡散臭いプロパガンダのCMなど、絶妙に毒が籠っていて最早清々しい。「やりすぎだろ！」ってレベルの残酷描写も凄い。手足が吹き飛ぶわ身体が真っ二つになるわ、とことん豪快。色モノB級映画スレスレの内容だけど、迫力と勢いに溢れた映像のおかげで思いの外面白い。
CG使いまくりの映像が迫力満点で楽しい。近未来社会を舞台にしているけど、開幕十数分で端的に世界観を描写してくれるので飲み込みやすい。次第に軍人として成長していく主人公、彼に一途な想いを寄せる同郷の女兵士など、登場人物達のキャラの立ち方も好き。話のテンポも良いので序盤のSF軍隊青春ドラマパートもベタながら何だかんだで楽しめる。まあそんな感じに色々あるけど、やっぱり凄いのは戦闘シーンだ。とにかく死ぬ、死にまくる。ド派手な残酷描写が悪趣味すぎていっそ笑ってしまう。そんな場面を作中で壮絶に描いているので、見ている最中は結局緊迫してしまうからニクい。
「宇宙艦隊組めるだけの技術力があるのに戦闘は銃器持った歩兵頼りなのかよ」「というか殆ど戦術無しで宇宙生物と戦うのかよ」など、ツッコミ所はなかなか多い。内容自体がグロやナンセンスだらけなので確実に人を選ぶし、大筋に関しても基本的にはベタな部類。ただ、そのベタなストーリーすらも最終的に強烈な皮肉として機能する構図は面白い。そういった滑稽さを抜きにしても、金と悪趣味を注ぎ込んで全力で撮ったSF戦争映画なだけあって普通に楽しい。
