Same

スターシップ・トゥルーパーズのSameのレビュー・感想・評価

5.0
変態天才映画監督ポール・バーホーベンが、ハリウッドの潤沢な資金を大量につぎ込んで、アメリカを、軍国主義を皮肉たっぷりに茶化し倒した傑作SF大作。

僕のオールタイムベスト映画。

全体的に浅い色調の明度の高い映像なのがとてもいい。
そのノーテンキな映像通り、ビバリーヒルズ青春白書の様なチープな若者の青春が描かれ、後半はその若者たちが投入された戦場で、明らかに戦力差がある大量の巨大昆虫の群れにライフルひとつで突撃していき、情緒の欠片も無く八つ裂きにされていきます。
抜かりのないハイクオリティな映像、ずーっと鳴り響くやたらと壮大なテーマ曲、ちょいちょい挿入される白々しいほどのプロパガンダCM。
配役もベストと言えるチョイスですね。デニス・リチャーズも、ディナ・メイヤーもバーホーベン好みの顔で、バーホーベン映画お約束の美女の嘔吐シーンもあります笑

原作はロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」ですが、これはかなり右翼よりの小説です。
それを幼少期に戦争体験のあるバーホーベンが映画化し、一見、故郷を滅ぼされた若者が戦争を経験し、愛国心に目覚め成長していく姿が描かれています。
しかしそんなのは誰にでも見破れる見せかけで、さっきまで将来の夢を語っていた若者がお笑いスプラッター映画ばりに、手足をもがれて死んでいきます。しかもずーっとビバリーヒルズ青春白書のノリで。

エンターテイメントとしてのSF映画と、裏に込めたメッセージを高次元で結実させたのは流石はバーホーベンと言わざるをえません!ちゃんと作者の意図を汲み取れる映画ファンは必見の映画です!
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