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ペネロピのabeeのレビュー・感想・評価

ペネロピ(2006年製作の映画)
4.6
【鼻まで愛して‼︎】

記憶に残るものこそ名作‼︎
私にとって誰がなんと言おうとやはり「ペネロピ」は名作なんです。

5世代前のご先祖さまの不貞のせいで豚っ鼻で生まれてくるという呪いを受けてしまった名家の娘・ペネロピ。その呪いを解くには同等の位の名家の息子と結婚しなければならないと信じている母。ペネロピのために名家の息子を集めてはお見合いをさせるが、ことごとく失敗に終わる。ペネロピの鼻を見て誰もが逃げ出す中、落ちぶれた名家・カンピオン家の息子マックスがそのお見合いに参加したことで内にこもったペネロピの心が変わり始める。

設定自体は逆転版「美女と野獣」。ところが、このストーリーが訴えかけてくるのは「本当の自分とは何なのか」ということ。果たして豚っ鼻のペネロピは「仮の姿」なのか?

この作品は全く難しくない。
何故なら「人間は見た目より中身」なんてキレイごとよりずっと簡単な話だからだ。

人の、ましてや親の価値観すら関係なくて、生まれてきてからずっと共に過ごしてきたその豚っ鼻は紛れもなくペネロピそのものであり、それを否定することに意味など無い。自分に嘘をついてまでキレイな鼻が必要なのか?
コンプレックスが魅力的に見えるのは自分がそのコンプレックスを愛しているからに他ならない。自分が愛してあげれば人から愛される。それを理屈でなく本能でやってのけたペネロピの美しさが私も欲しい。

そしてマカヴォイに愛されたい‼

ということで、「美女と野獣」は元は美しい王子が醜い野獣になってしまうので、根本から考えるとメッセージは全く違う。
私は自分自身の力で「愛」「自由」を勝ち取ろうとするペネロピに心打たれ、どんな姿であれ自分を否定しないペネロピの強さに胸がざわざわしました。

全体から漂うイギリスの空気感、ペネロピのファッションやインテリア、そして何よりマカヴォイの気取らない王子っぷり。
そりゃ記憶から消し去ることができないわけです。

何度でもみたい大人ファンタジーです!
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