あなぐらむ

暗黒街最大の決斗のあなぐらむのレビュー・感想・評価

暗黒街最大の決斗(1963年製作の映画)
4.1
井上梅次が高倉健、鶴田浩二他オールスターキャストで描くギャング抗争劇。
なのだが、テーマは仁義に生き、死に様に美を見い出す「やくざ」に戦前の古き日本像を投影し、彼らが新しい日本=アメリカ文化の日本に翻弄される様がラストの銃撃戦に昇華されていく。安部徹が今回も効いている。

実際の主役になるのは、鶴田浩二の親友ジョージ三鬼こと大木実。戦後海外に渡り、アメリカナイズされた彼は日本の因習的な「やくざ」を嫌う。マネーこそ人を動かす、という資本主義の権化だ。そんな彼も、最後は墓も無く死ぬ。

井上梅次は日活、東映、大映、松竹と渡り歩いた職人だが、やはり日活の色は強く、作品にモダンさとユーモアを忘れない。この「暗黒街最大の決斗」もギャング映画の体なのだが、ここから東映が「仁侠もの」路線に逆戻りしていくのは興味深い。それは昭和と言う時代の流れにそっていたのかもしれない。

ところで俺の好みの系統の顔では全然ないのに、新東宝スターレット出身の久保菜穂子さんは素敵である。悪女が似合う人。薄幸もいける。
「暗黒街最大の決闘」では水着姿も拝見できるし、セクスィな赤のネグリジェ?おみ足も見る事もできます。佐久間良子より全然いい。