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禁じられた遊びの小のレビュー・感想・評価

禁じられた遊び(1952年製作の映画)
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映画は初めて観たけれど、「愛のロマンス」のギター独奏は知っている。和音を構成する音を一音ずつ低いものから(または、高いものから)順番に弾いていくアルペジオ奏法はともかくとして、人差し指を伸ばして複数の弦を押さえるセーハが必要な「F」コードが難関で、ギター初心者をふるいにかける曲。美しくも悲し気な曲だけれど、子どもが主役の物語だったとは知らなかった。

第2次世界大戦中のフランスが舞台で、ドイツ軍によるパリ侵攻から逃れる途中、爆撃により両親と愛犬を亡くした5歳の少女ポーレットと、ひとりさまよう彼女を家に連れて帰った11歳の農民の少年ミシェルが主人公。

両親の死は良くわからず、愛犬の死に戸惑うポーレットを慰めようとしてか、ミシェルは死んだものは土に埋め、お墓を作ることを教えたことをきっかけに、2人でお墓を作って十字架を供える遊びに夢中になる。それはエスカレートしていき2人は教会や霊柩車からも十字架を持ち出してしまう。

「不朽の名作」と言われる作品だけれど、鑑賞時のコンディション不十分で消化不良気味という言い訳はさておき、「理不尽」や「無常」を純粋に描くため子どもの目線で描いたのかしら。

今あるものは次の瞬間あるとは限らないという現実。両親や愛犬の喪失は、5歳の子供にとってその原因が戦争であろうとなかろうと関係がないのだから、戦争はこのことのリアリティを持たせる舞台装置に過ぎないのだろうと思う。

ポーレットはミシェルの家で暮らすうちに死を理解する。ミシェルは信仰を良く理解しているから、ある日突然やって来る理不尽な喪失と、それを埋めるための安らぎの空間づくりのための「禁じられた遊び」に2人そろって夢中になる。

しかし、神の代理人や大人たちの裏切りにあい、純粋なミシェルは十字架なんて意味ないじゃないか、全部嘘っぱちじゃないか、と傷つき、憤慨する。そして、喪失の意味がわからなかったポーレットは、今やそれをしっかり把握していることが表現され終了する。

こうして考えると、結構、救いのない物語。なんか、もう1回観て確認したくなってきたので点数はなしで。
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