140字プロレス鶴見辰吾ジラ

回路の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

回路(2000年製作の映画)
4.3
国産ゾンビ映画に拘る必要はないだろう

黒沢清監督強化月間第2弾は…
インターネットを媒介に霊界と日常が繋がるホラー…
「回路」です。

個人的な見解ですが、どことなく和製ゾンビ的な世界観を国産ホラーとしてのアイデアや演出において描いてるのではと感じました。

当時は普及したてで未知に満ち溢れているインターネットから着想させ、哲学的に”生”と”死”の境界線とそこが繋がってしまうことで日常が侵食され、いわば「ミスト」で描かれたような終末へと向かっていくという内容がいやでもシチュエーションや個人と他者との在り方を考えさせられる作りになっています。

ホラーというジャンルならではの登場人物の愚行や愚考が、洗練されていない内容に溶け込むように作用していますし、演出面ではホラーならではのBGMによるプレッシング、生活風景に映り込む”生”と”死”の境界、そして…これが半透明な遮蔽物か!…
それは置いといて、壁のシミ、壁のシミ、壁のシミ…

車のCMは、車の性能でなく購入者のライフスタイルを想い描かせる提案だと聞きますが、あんな未来の自分像はイヤだ…

助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助…け…て…


ホラーを媒介にしてますが、ゾンビ映画的な人類の終末モノのような孤独な現状と他者との関係、「行けるとこまで行こう…」という所在不明ながら運命に抗おうという愚者の行進が青春チックで良かった。

パソコンの画面越しの異界の表し方、ネットを媒介に見られている、見てしまう恐怖がカメラワークや音楽の演出によりジリジリギトギトと感じる作品。

ラストシーンは個人的に好きな終わり方でした。