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名探偵コナン 時計じかけの摩天楼のbackpackerのレビュー・感想・評価

4.0
◾︎劇場版名探偵コナン第1作

【作品情報】
公開日   :1997年4月19日
作品時間  :95分
監督    :こだま兼嗣
製作会社  :小学館、よみうりテレビ、小学館プロダクション、ポリグラム、キョクイチ東京ムービー
脚本    :古内一成
原作    :青山剛昌
音楽    :大野克夫
撮影    :野村隆
配給    :東宝
主題歌   :『Happy Birthday』(杏子)
出演(声) :高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、山口勝平、茶風林、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、桜井菜桜、石田太郎、他

【作品概要】
1994年5月連載開始、1996年テレビアニメ放送開始、2022年4月現在の単行本巻数は101巻。日本を代表するミステリー漫画及びアニメシリーズである『名探偵コナン』。
本作は、そんな『名探偵コナン』の劇場版第1作である。
原作者青山剛昌が制作に携わり、原画等でも参加。また、終盤の爆弾解体シークエンスのクライマックスで、爆弾の赤と青のコードのどちらを切るか?という演出も、青山剛昌がアイデア提供している。

作品のシナリオは、コナン最大のリスペクト基である『シャーロック・ホームズ』における、「犯罪界のナポレオン」ことホームズの宿敵モリアーティ教授との戦いをモチーフとしている。

なお、工藤新一の誕生日である5月4日は、
ホームズとモリアーティ教授がスイス・ライヘンバッハの滝で格闘し、共に死んだとされた日付である。

【作品感想】
〈犯行動機:己の美学に従って〉その①

この時点では、毎年のように新作が作られ、興行的にも大ヒットするシリーズになるとは、誰も考えていなかった本作。
何度も見ている癖にしっかり真面目に鑑賞していないものだから、いつも中身がうろ覚えだった本作。
しばらく見てなかったから、また見たいなぁと長いこと思ってた本作……。

ようやっと重い腰を上げて、ちゃんと鑑賞してみたところ……あらやだ、面白いじゃない!なにより素晴らしいのは、悪役!抜群に最高な悪役ですよ!

善悪の対立構造がある作品は、やはり善側よりも悪側の完成度こそ重要ですね。
悪役の行動原理や哲学等がしっかりと練り込まれた作品でないと、物足りない・好きになりにくい性質なのですが、本作の悪役・森谷帝ニには大変満足しました。
この男の何が素晴らしいって、その考え方です。
確たる信念に基づき、己の美学に反することをした忌まわしき過去は、きちんと自らの手で清算する姿勢。その為に、人が何人巻き添えくらって犠牲になろうが、知ったこっちゃない。自分の夢をぶち壊した憎たらしい小僧(工藤新一)への復讐も併せてやってやれば、一挙両得ですし、その態度の全てが最高です。

森谷帝ニ。完全に自分本位で、他人を労わる気持ちなんてカケラも持ち合わせず、それでいて社会的地位を有し普段はいかにも真っ当な人間であるかのように振る舞う。
もうどうしようもなくバッチリグッド。


もちろん、作品全体を見ると、アレなところもあります。
犯人のヒントがヒントになってるとは思えないものだったりとか、警察が探偵に全幅の信頼を寄せてる様(ある種滑稽)が公的機関として完全にアウトであるとか、コナンが森谷邸から米花シティービルに異様な速さでたどり着くとか、色々あれ?ってこともあります。
バーロー!んなこたどーでもいいんだよ!!
荒唐無稽も売りもんの一つじゃ!!笑


個人的感想総括しますと、悪役が素晴らしい、それが全て。
あと、一作目にして最高峰と言ってもいいくらいの爆発描写が山盛り出てきますから(そもそも謎の爆弾魔を追うという話ですしね)、コナン映画爆発ウォッチャーとしても大満足でした。いいぞ、もっと爆発しろ……。
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