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マッドマックス/サンダードームのbackpackerのレビュー・感想・評価

3.0
◾︎マッドマックスシリーズ第3作

【作品情報】
公開日   :1985年6月29日(日本)
作品時間  :107分
監督    :ジョージ・ミラー
製作    :ジョージ・ミラー、ダグ・ミッチェル、テリー・ヘイズ
脚本    :テリー・ヘイズ、ジョージ・ミラー
音楽    :モーリス・ジャール
出演    :メル・ギブソン、ティナ・ターナー、スティーヴン・ヘイズ、ブルース・スペンス、ヘレン・バディ、他

【作品概要】
盟友バイロン・ケネディの飛行機事故による突然の死により、若干迷走。普遍的英雄としての主人公像に迷いが生じることに。
ソウル・ミュージック界の巨人ティナ・ターナーを敵役に起用する等、ハリウッド及びアメリカの資本を初めて得たが、過去作を超えるバイオレンスは描かれなかった。
しかしながら、本シリーズを「音の出るサイレント映画」と自認するミラー監督が、愛するバスター・キートンを彷彿とさせるコミカルな列車アクションには、挑戦心を感じとることができる。

【作品感想】
「二人が入り、出るのは一人!」
世界の荒廃は前2作からいや増すばかり。
マックスの愛車もラクダ4頭立てで引っ張る始末。そんな彼が流れ着いたのは、女傑アウンティの支配する文明都市(?)バータータウン。"境遇のドン底"の最安値を更新し続ける生ける亡者マックスも、遂に人間の営みが残る土地にやってくることができました。
バータータウンは、このクレイジーな世界においては"かなりまとも"な公益(物々交換)都市で、豚の糞からメタンガスを集めてエネルギーにするという離れ技までやってのけています。
それでも、マックスに安住の地はありません。世捨て人の平和は、一体どうすれば取り戻せるのでしょうか……。

今回のマックスの立ち位置は、原始的ながら一定程度の秩序を有する社会形態(バータータウン)に突如現れ、嵐のように破壊し尽くし去って行く存在。さながらトーカッターやヒューマンガスといった"ならず者"側のような行動であり、秩序の破壊者に近いように見えます。
幼い者・庇護すべき者・夢見る者のために露払いをする年長者という行動が、前作のような"弱きを助ける英雄"の姿を再来させていますが、いかんせんやってることは破壊者なもんで、こんな厄介者勘弁してくれよと思わざるをえません。
一度離れたバータータウンに舞い戻って、マスターを連れ出す理由も特に無いし、行き当たりばったりながらどうにかなってしまうのもご都合主義すぎますし、全体的に前作よりもパンチが弱い。
パンチって話で言えば、シリーズの真骨頂である最大の見せ場〈カーチェイス〉が、最後の最後まで引っ張られた挙げ句、前作と比べて遥かにチャチってのも残念です。サンダードームの決闘が噴飯ものなのはご愛嬌。もっと血みどろバイオレンスな決闘が見れたらなぁ……。

平和と安寧のオアシスを捨て、危険な世界に旅立った(夜逃げした)子どもたちを連れ戻す為に奮闘したマックスも、まさか彼らがオアシスに帰らず、廃墟と化したシドニー(トゥモローランド)に向かうなんて、思ってなかったでしょうね。
子どもたちを地獄に引っ張り出したサバンナ・ニックスの罪は重い……。
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