今回映画館で見終わったあと、どういうわけだか、オチをほぼ忘れていたけれど、二十年以上前に地上波か衛星放送で観ていたなぁと思ったし、それもあってか、オチの直前で、おおよそ先の展開が読めてしまったけれど、それでもその周到さに徹した脚本と、明快かつ冴えてみえたその演出の手腕に、ニヤニヤを通り越して、拍手の一つもしたいと思ってしまった作品。
また、どうもこの作品の裏社会とか、そういう後ろ暗い世界の人のつながりとかが、ドイルやシムノン、池波正太郎作品にも、ちょっと通ずるところがあって、どうもまっとうな社会を正面から描いた作品よりも、妙に惹かれてしまうところがあるのかなぁと思う。
世評はともかく、わりと信頼しているレビュアーの方からの評価は思いのほか低めだけれど、全体に男くさいもののキャラクターは立っているし、まぁよく肝を押さえて練られていて、すっきりとまとまった作品だと思うけど。
自分にとっては隅に置けず、ちょっと憎らしいけれど、どうしても可愛い作品の一つ。
