マンボー

DUNE/デューン 砂の惑星のマンボーのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.0
本作の原作は、SF小説屈指の名作で、学生時代に読みたい読みたいと思っていたのに、とうとう読まずに過ごしてしまった作品の映画化とあって、公開当時、必ず観ようと思っていた話題の映画群の中では、わりと早めに映画館に足を運んだ記憶が……。

序盤、本作独特の演出がどうにももったいぶったように見えて、今ひとつ乗り切れなかったものの、後半は贅沢なキャストとその配し方の巧みさと、原作由来の物語の道具立ての、奇抜だけれど見事に引き込まれる設定とその語り口に感心させられ、しっかりと楽しめたし、あのジブリ作品に完璧に影響を与えた、この惑星の風土の独特な秀逸さにクラクラしながら、暗闇の中でニヤニヤするしかなかった。

貴種流離譚に、過酷な砂の惑星と、そんな環境に適応した特異でミステリアスな種族の設定、砂漠にひそむ巨大なサンドワーム等、普遍的なアイデアと新奇なアイデアをあざない、不思議な取り合わせながら、それぞれの要素が互いを引き立て相乗効果を生み出し、さらに奇抜なアイデアを浮薄な絵空事にせず、物語を地上につなぎとめるようにリアリティーを与えた世界観の映像化の出来が見所で、クセのある演出だけど、次回作まで原作小説に浮気をせず、続編の映像化を待ってみる気持ちになった。