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インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説のYYamadaのレビュー・感想・評価

4.5
【考古学者/インディアナ・ジョーンズ】

◆本作の舞台 〈1935年〉
 上海→インド/パンコット宮殿
◆マグガフィン
 サンカラ・ストーン/シヴァリンガ

◆公開時の年齢
S.スピルバーグ: 37歳
G.ルーカス  : 39歳
H.フォード  : 41歳
I.ジョーンズ  : 36歳

〈見処〉
①ジェットコースター・ムービー!
・『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(原題: Indiana Jones and the Temple of Doom)は、1984年公開のシリーズの2作目。時系列は、当時画期的であった、前作『レイダース』の1年前に設定されている。
・舞台は1935年上海のナイトクラブ。インディは満洲系ギャング、ラオ・チェに騙されトラブルに陥るが、その場に居合わせた歌手ウィリー(ケイト・キャプショー)、相棒の少年ショート・ラウンドと追っ手から逃れるが、搭乗した貨物飛行機はラオ・チェの会社のものだった。
・ラオチェの策略により、墜落する飛行機から辛くも脱出した彼らが到着したのは、インド。川岸で出会った老人から案内された小さな村は食べるものもままならない状態。
・聞くところによると、村の祭壇に飾られたシヴァリンガ(サンカラストーン)と呼ばれる秘石と子供たちを邪教集団に奪われ、村は瀕死の状態に陥ったという。
・老人から「救世主」と言われたインディたちは、シヴァリンガと子供たちを取り戻すため邪教集団の根拠地、パンコット宮殿へ向かう…
・本作の終盤に登場する、トロッコシーンに代表される、数々のアクションシーンから「ジェットコースタームービー」と呼ばれ、5分に1回以上のアクション・シーンは、公開から30年以上経過した現在でも、非常に迫力がある。 

②本作がもたらしたこと
・当時離婚係争中であったルーカスの精神状態から、非常にダークとなってしまったと言われる本作。
・スピルバーグは早い段階から「自分は雇われ監督だから」と逃げの発言を繰り返していたが、このままではR指定となるリスクを避けるため、アメリカの映画審査機関(MPAA)に働き掛け「PG-13: 13歳未満の鑑賞には、保護者の強い同意が必要」の新レーティングが出来た。(但し本作は最終的に「PG(Parental guidance suggested)=保護者の検討が望ましい」に落ち着いた)
・スピルバーグは「自分のフィルモグラフィーの中で一番の失敗作だ」と語っているが、本作で出会ったケイト・キャプショーと再婚、現在に至っている。

③結び…本作の見処は?
◎:スピード感あふれる「トロッコ・チェイスをはじめ、畳み掛けるようなアクション演出が圧巻! アクションの密度はシリーズ随一で、鑑賞者に休む暇を与えない。
○: グロテスクでオカルト描写に偏りが激しい「トラウマ映画」であるが、インパクト観点から高評価としたい。
○: 本作の「ディザーオープニング」はミュージカルで始まる。怪しげな30年代の上海の雰囲気が印象的である。
▲: マグガフィンとしてのサンカラストーンに魅力が薄く、冒険の旅に出る行動原理に弱い。
▲: 前作にあった、大人のヒーロー像のイメージから、子供 向けの描写に成り下がったのは残念だ。

シリーズ中、最も作品バランスが悪いが、当時(中学一年生)の劇場鑑賞時に、アクション・シーンの多さと、グロテスクさがあまりにもスリリングで、劇場から逃げ出したい衝動に駆られた唯一の作品。全てのシーンに愛着がある。
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