140字プロレス鶴見辰吾ジラ

エンジェル ウォーズの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

エンジェル ウォーズ(2011年製作の映画)
4.5
”歪なものの純度が高くなっていく高揚感”
”無垢な祈りを信じようとすることで生まれる力”

【再レビューシリーズ】
かつてレビューしましたが、不真面目にレビューしていた時期もありますので、改めてレビューいたします。

本作「エンジェル・ウォーズ」
公開当時、私は”ザック・スナイダー”という監督なを知りませんでした。
さらに、公開時のポスターと邦題のテキトーさ、当時アニメ好きでしたので、声優アイドルユニットの”スフィア”の4人が吹き替えしますよ~というテキトーな宣伝しかしていない”イロモノ”映画とばかり思っておりました。実際、DVDを手に取り、自宅にて再生するまで”テキトー”な”イロモノ”だと思っておりました。

結果、私のオールタイムベスト級の作品に出会えた衝撃に打ちひしがれました。

今作を鑑賞する前に、クリストファー・ノーラン監督作品「インセプション」を体験していたこともあり、”夢””階層”というキーワードを取り込みやすくなっており、その世界の抑圧され、絶望的で、祈ることしかできないスタートラインから、決して報われることのないであろう、世界のゴールラインに向けての”純粋”で”無垢”な少女の”もがき”が心を打ちました。

世界観は圧倒的に”虚構”です。またの名を”ファンタジー”。
ただ”虚構”に振り切ったからこそ、伝わってくる、無垢なる”反抗”に、命の輝くその瞬間、瞬間に言葉にできない(正確には言葉にできなくて良い)想いの熱量がエネルギッシュさが大好きです。
※大好きという言葉を使っている時点で、私自身の思考が至高の領域に行ってしまっています。ヴァルハラを飛翔してります・・・

”ファンタジー”にデフォルメされたことによる、反現実性が浮き彫りになり、そこに注がれるものがある種反作用的に削がれていくことで、伝わってしまうような世界に自分も迷いこんでしまうような没入感覚が気持ちの良いものだと感じました。ただ快感を呼び覚ますと同時に、虚構→現実へと意識が追い付いたときに感じる、「滅びの美学」に似た切なき境遇から、希望と絶望の現実上で返還不能な位置エネルギーの大きさに心に発電機のプラグが直接つながれるような感覚に襲われてしまうという印象です。

「女子高生」「征服」「銃器」「サムライソード」「ドラゴン」「世界大戦」「ゾンビ」「未来世界」

「チームアクション」「英雄的行動」「自己犠牲」「友情」「希望の橋渡し」

世界が腐れば腐るほど、想いが無垢になり、その歪性が純度を増していくと思うのです。

「ダサい」「テキトー」「イロモノ」「マニアック」
それでも良い、この作品には、”愛する”ことに意味を感じるエネルギーがあるからこそ、好きな映画なのだと思います。

「ショーシャンクの空に」
「レオン」
「タイタニック」
彼らには友達が多いです。

友達の多いヤツは信用できないと思ってしまう人間です。

純愛を望んでしまう人間です。

だから”愛”が感じられた本作を嫌いになれないですし、”好き”でいたいのです。



吹き替えで見ると、声優事務所ミュージックレインの思惑が見られるキャスティングにニヤリとします。