たにたに

惑星ソラリスのたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

【想像が物体化する】2023年87本目

惑星ソラリスを探索する宇宙ステーションからの交信が途絶える。無事に帰還した一人の男の話によると、海面が様々な形に変化する不思議な現象を見たと発言。しかし、有識者は皆、ただの彼の精神異常による妄想だと一蹴。

主人公クリスは、調査のためステーションへ飛び立つ。そこには2人の科学者が生存。
そこでは突然知らない女の子が走り抜けたり、小人が不意に登場してくるのだが、説明もなく訳が分からない。
クリスの友人であった男は、ビデオメッセージを残して自殺している。
このステーションでは、そこに存在する人間の想像が物体化して現れる。
おそらく、記憶の断片みたいなものを惑星ソラリスが感じ取り、海の波形がそれを具現化するのだと思われる。
2人の科学者は、「あぁ、また現れたか」といった面持ちで慣れた様子。
自殺した友人は、おそらくその具現化に頭をおかしくした。

クリスの想像の物体化は、亡き妻の姿であった。初めは信じ難く、ロケットに無理やり彼女を乗せて点火してサヨナラという横暴。しかし、寝て目を覚ますと再び彼女が現れて、一緒にいたいと甘えるのである。そうしてクリスもまたそれに答えてしまうのだ。

惑星ソラリスという見えない何かに操られ、生きているのか死んでいるのかわからない何者かによって洗脳されていくのである。

1950年代以降、米ソは宇宙開発で競っていたわけですが、1969年には米国が初めて月面着陸を成功させた年。
未知の惑星に対する関心は非常に高かったろうし、タルコフスキーの思いを完全に汲み取るのは難しいが、予算のなさそうなセットの割には伝えたいことはなんとなく感じ取れる。

身の前に現れる実体が、もし全部ソラリスの創造物だったとしたら。。
人間は疑いもなくそれを受け入れてしまうのかもしれません。


日本の高速道路が近未来として描かれ、長回しされるシーンには驚きました。
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