マヒロ

黒水仙のマヒロのレビュー・感想・評価

黒水仙(1946年製作の映画)
4.0
ヒマラヤの奥地に立つ宮殿を提供され、そこを修道院とすべく派遣された五人の修道女達が、異国の雰囲気にあてられたのか次第に様子がおかしくなっていく…というお話。

禁欲が美徳とされる修道院のはずが、その宮殿は元々ハーレムだったという曰く付きで、そもそも前提からして間違えているような気がするんだけど、案の定上手くいかない。

修道女達は皆何か過去に問題を抱えているようで、異国の地の幻想的な風景、将軍のつけている魅惑的な香りの香水(この香水が「黒水仙」)、現地にいる西洋人の男臭さ等にどんどん参っていってしまう。
中でも強い印象を与えるのは性的欲求に押しつぶされていくシスター・ルースで、次第に正気を失っていく表情や喋り方なんかの、大袈裟でない抑えた狂気の演技が素晴らしい。彼女の感情がついに爆発するとき、清潔な白の衣装が真っ赤に変わるという演出は『淵に立つ』を思い出した。

この時代のカラー映画らしく原色を多用したカラフルな色遣いが為されてるんだけど、レンタルしたDVDが古い型だったからか画質があまりよろしくなかったのが残念だった。綺麗な画面で見たい映画だな。
ただ、シスター・ルースがボンヤリと戸口に立ってるシーンなんかは、画質の悪さが逆に恐ろしさを引き立てていたけど…。

(2017.41)
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