河豚川ポンズ

鳥の河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

(1963年製作の映画)
3.7
モンスターパニックのご先祖様な映画。
酉年だからという安直かつ何百万回も使い古されたネタのような理由で見ました。

サンフランシスコの小鳥屋を訪れていたメラニー(ティッピ・ヘドレン)は、そこでミッチ・ブレナー(ロッド・テイラー)という男性に出会い、彼に興味を持つ。
たまたま店員が電話をかけていたことを利用して、店員のフリをしてミッチに話しかけるが、11歳の妹のために鳥を買いに来ていた彼はここに探している鳥はいないと言われて帰ってしまう。
ミッチにどうしても会いたいメラニーは店員にミッチの探す鳥を代理で届ける代わりに住所を聞き出す。
そして彼女はカリフォルニアのボデガ・ベイまで行き、ボートを使って湾の向こう側の彼の家に鳥をこっそりと届ける。
一方でミッチはボートで戻る彼女に気付き追いかける。
彼女が元来た船着き場に着いたその時、空からカモメがメラニー目掛けて飛んできて怪我をさせてしまう。
それを見ていたミッチは怪我の手当てのためにも一旦自分の家に来るように言うのだった。

63年の映画、つまり57年前の映画になるのですが、映画評論家のデイヴィッド・トムソンが「最後の完璧な映画」と評したように、パニックもののテンプレともいえる無駄のない構成で、今の自分が見ても十二分に怖いと感じました。
ホラー映画によくいる、ヒステリー起こして周りを責め立てるやつ、オカルト方向に思考が飛んで神の怒りだのなんだの言うやつ、ここぞというタイミングで周りを無視して要らないことをしてくれるやつ、すこし高飛車気味な主人公などお約束満載です。
日本では「サイコ」を上回る大ヒットだったそうですが、この出来なら納得できます。

全編通して音楽がないというのも特徴的で、話し声と鳥の鳴き声のみで話が進んでいきます。
なんとなくこういうのは自分はめっぽう苦手なようで、それがこの映画を怖いと感じたり、そもそもホラー映画が苦手だと感じる理由なのかなとも思いました。

題材も「理由もわからず鳥が人間を襲ってくる」という容易に想像できて少しあり得そうに思えてしまうのも、リアリティを高めていると思います。
そもそもヒッチコック自身が鳥嫌いだったそうなのですが、そりゃあこんな鳥のイメージを抱いていたのなら誰だって嫌いになりますよ(笑)