Omizu

深夜の告白のOmizuのレビュー・感想・評価

深夜の告白(1944年製作の映画)
3.6
【第17回アカデミー賞 作品賞他全7部門ノミネート】
ビリー・ワイルダー監督がジェームズ・ケインの小説『倍額保険』をレイモンド・チャンドラーとともに脚色した作品。フィルム・ノワールの代表作として知られ、バーバラ・スタンウィック演じるフィリスはその後のファム・ファタールのひな型となった。

フィルム・ノワールとはどうも相性が悪いようだ。キャラにもストーリーにも魅力をあまり感じない。

ただ、ネフと同僚キーズの関係にはひっかかるものがあった。これって本当に「男の友情」なのか?それ以上なのでは?

ネフもキーズも未婚、キーズは女性に関心を示している描写がない。ネフはフィリスに惹かれるという展開にはなるものの、終盤フィリスがネフへの本当の想いを独白してもあまり動じている感じがない。極めつけはラストのセリフ。「犯人は隣の席にいた」「いや、それ以上だ」

もちろん額面通りに男同士の友情と受け取れるが、かなり違和感のあるセリフなのでは。「隣の席の同僚」以上の関係って…?

その雰囲気も含めファム・ファタールを演じたバーバラ・スタンウィック以上にキーズを演じたエドワード・G・ロビンソンはかなりの名演。クセが強いが憎めないキャラクターを見事につくりあげていた。

フィルム・ノワールというジャンル自体への苦手意識はやはり克服できなかったものの、上記の違和感が胸に引っかかる作品だった。
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