シズヲ

座頭市と用心棒のシズヲのレビュー・感想・評価

座頭市と用心棒(1970年製作の映画)
3.3
勝新太郎の『座頭市』と三船敏郎の『用心棒』が共演という贅沢すぎる作品。脇も豪華に固めていて、更に尺も座頭市としては珍しく2時間の長丁場。まさにフルコースと呼ぶに相応しい豪勢っぷり。「村で二つの勢力が対立していて、主役がその間を強かに立ち回る」という構図は確かに『用心棒』っぽい。ただ、こんだけ凄い素材が揃っている割にはあんまり大したことない印象。

登場人物の立ち位置や思惑がやたらと複雑に絡み合っているせいで、せっかくのスター共演なのにそこを話の軸に出来ていなかった印象。肝心の座頭市VS用心棒も思いの外半端で、かといってストーリーが面白いって感じでもないから煮え切らない。話の展開でしっかり対決を盛り上げて、尚且つ殺陣も見応えがあった『破れ!唐人剣』の方がまだ共演モノとして上手かった印象。座頭市の性格もいつになく刺々しくて妙な違和感があった。でも流石にセットとかに凝っているのは伝わってきて、役者の力もあってそれなりには楽しめる。終盤の混沌とした血みどろっぷりも割と好き。
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