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夏の嵐のmichiのネタバレレビュー・内容・結末

夏の嵐(1954年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ヴィスコンティ作品では、いろんな意味で人間としてどうかしてる振る舞いをする人が登場する気がするけど、フランツは中でもハイレベルなクズ人間だったように思う。でも、時折見せる軍や祖国への思いがあふれ出す様子からは、時代に翻弄されたかわいそうな人だったのか?とも一瞬思ってしまった。いや、でも敵側の既婚女性に手を出して弄び、お金をもらって医者を買収して除隊になって、余ったお金で別の若い女と過ごして…最低です。
そんなダメ男と不倫するリヴィアは、貴族として、イタリア人としてのプライドを捨てて、ただただ必死で彼を繋ぎ止めようとしていて痛々しい。個人的に、イングリッド・バーグマンはあんな振り切れたイメージがないからキャスト代わってよかったかなと思う。

ずっと破滅の一途をたどっていくわけだが、ラストの堕ちていき方は壮絶。そして結末の見せ方がなかなかショッキング。ファーリー・グレンジャーは監督とけんかして先に帰っちゃって、あのラストシーンのフランツは違う人らしい。いろいろ大変だったのね。

当然、映像はとても美しく、豪華。フランツのヴェロナの部屋なんて、目を疑うほどゴージャスだった。衣装も素敵で、オーストリア軍の白いマントが本当にかっこいい。散々かっこよくマントを翻している姿を見せつけられた後だからこそ、軍服を脱いだらただの人だったという落ちぶれたフランツの姿が印象深くなる。
ここの風景を丸ごと見てくださいと言わんばかりの丁寧なロングショットで、町や人々の様子、悲惨な戦闘に見入った。
ヴィスコンティ作品はどれも後に引きずっちゃうような重苦しい話ばかりだけれど、私はこんな映像が楽しみで観てしまう。

昔、ブルックナーがよく分からないのは、まだ若いせいだと思っていたけれど、歳をとっても良さが見出せません~
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