たにたに

トゥルーマン・ショーのたにたにのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
5.0
【ある意味ホラー】

コメディ映画だと思ってナメてました。
とんでもない作品。衝撃でした。
珍しく長文書きます。


🟢トゥルーマンはなぜ明るいのか
彼はなぜあんなにも明るいのでしょう。
幼少期に波にのまれて父親を失い、美人な妻がいるのに学生時代に恋をした女性の行方を探し続けています。

しかし、近隣の人とは毎朝元気に挨拶。
「こんにちは、そしてこんばんは。」
犬にも人々にも好かれ、仕事も滞りなくこなしています。

彼はどこかで、何もかもうまく行っている自分の人生なら初恋相手に再び出会えると確信していたのだと思います。
全ての活力は彼女だと感じました。


🟢初恋相手の彼女は何者か
おそらく、彼女は本来トゥルーマンの妻(役)としてオーディションに受かったと思われます。
しかし、トゥルーマンショーをリアルにテレビで観てきた彼女は、彼の正直さを目の当たりにして、本当の恋愛感情に近いものを実際に感じたことで嘘をつくことができなくなり、嘘で固められた彼の世界をゲロったのでしょう。リアルな世界に彼を連れ出したい気持ちになったのだ。


🟢視聴者率の多い理由
トゥルーマンショーはおそらく、視聴率独占状態だったでしょう。なぜこの番組は視聴者を惹きつけるのでしょうか。

もちろん、1人の人間を異世界に閉じ込め、見物するという後ろめたさを公で堂々と放映してるのですから、それは面白いでしょう。
そして、トゥルーマンという男が番組によってつくられた存在と知りつつも、彼は国民の息子のような、人間の見本的な存在だったのでは。
そう、「トゥルーマンは番組によって作り上げられた人間なんだ」という感覚。私はここが最も視聴者を惹きつけた要因だと思います。
つまり、
トゥルーマンは操作された人生であり、
代わって自分は、いつでも自由に自分の人生の道を方向転換できる優位さを持っている。という優越感です。

トゥルーマンが、自分の世界に不審を感じ、一人海へと飛び出すシーンでは、波乱を期待しました。そして、リアルな世界へと繋がる扉を出た瞬間に大いに歓喜しました。バッドエンドは望んでいないのです。
勇敢で明るく、ハッピーな彼を上界から見下ろす優越感です。

さらにその瞬間、警備員の視聴者は番組表を探しましたね。
視聴者にとって、彼が自分と同じリアルに存在することはどうでも良いということを印象づけています。

🟢番組のプロデューサーは悪か
そうとも言い切れない。
トゥルーマンの夢は、世界で有名になることでした。
そして、彼は「世界が自分中心で回っている気がする」といったように、
たしかにプロデューサーは彼の夢を叶えています。
さらに、彼は確かに勇敢な逞しい男性へと育ちました。

しかし、海へと繰り出す彼に大波や稲妻を発生させたり、あたかも死んでも良いかのように、ほくそ笑む瞬間もありました。
要は、プロデューサーは彼を愛しすぎたのだと思います。

はたして、
トゥルーマンの明るさと勇敢さは彼によって計画的につくられたものなのでしょうか。
そう考えると、
セリフのように「こんにちは、こんばんは」と言っていましたが、これはおそらく小さい頃から父親が誰かが仕込んだ挨拶でしょう。
つまり、全世界で24時間放映されるテレビ番組は、視聴者にとって見る時間によっては午前でもあり午後でもあるからです。
怖いですね😓

プロデューサーは、
トゥルーマンが不自由なく過ごせるように、不自由さを与え続けていた権力者とも捉えることができます。
幸せを与えているんだ、という権力者思考。

でも、トゥルーマンは不幸せだったかというとそうとも限りませんね。
外へ飛び出す勇気を持ち合わせた素晴らしい人間に育ったことは間違いないのです。

🟢トゥルーマンとは
自分の人生に嘘はなかったんだ、
だからこそ彼は自信を持って外の世界へと踏み出すことができた。


もし自分がトゥルーマンの立場だったら、どうでしょう。
え!?
お風呂とかトイレとか、キスとかそれも全部見られていたということなの!??
と絶望に暮れるでしょう。

みなさんは恥ずかしくない人生を送っていますか。

胸を張って自身の人生を語れる人間になることがいかに、難しいことか。
傍観するだけでなく、行動することが次の世界への一歩なんだと、
気づかせてくれる素晴らしい映画です。
たにたに

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