わたがし

キャリーのわたがしのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
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 めちゃめちゃ面白かった。早いテンポでポンポン小気味良く話が進むし、画面もいろいろ工夫が凝らされていて全然飽きない。ねっとりキャリーを精神的に追いつめるズームイン&ズームアウトの凶悪さ、スローモーションのエモさ、マルチスクリーンの緊迫感、どこをどう切り取ってもまさに「最高の映画」って感じがする。プロムの照明も最高。
 キャリーが豚の血被るまでの異常に引っ張るサスペンスが気持ち良すぎてどうにかなりそう。そもそも、クライマックスでのキャリーの怪物性を表現するための血まみれのビジュアルを、被害者の返り血とかで作り上げるのではなく、そもそものいじめを豚の血を浴びさせるいじめにしようぜ、というアイデアが(原作がそうで映画化する際に結果的に良い方向に転がったのかもしれないけど)天才すぎる。血まみれの女、というビジュアル以上に美しいものはこの世に存在しないですね!!
 ラストは宗教的にはどう解釈すれば良いのかあんまりわかんなかったんだけど、とりあえずイエス・キリストみたいな(一般的には)正しい神の伝道師もいれば、キャリーのお母さんみたいな歪んだ解釈を広める伝道師もいて、そういった人達がいかに人間を不幸にするか、みたいなことが描かれているように感じた。その歪んだ伝道師というのは、お母さんだけでなく、クラスメイトも、先生も。宗教は人を幸せにすることができるけど、どん底の不幸にも陥れることができる。
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